2014 Fiscal Year Research-status Report
脳幹におけるGLP-1分泌機序に関与する 修飾因子および神経 ネットワークの同定
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25460336
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久留 和成 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00592081)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中枢神経 / 代謝学 / 糖尿病 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系におけるGLP-1分泌に関与する修飾因子を同定するため、摂食調節に関連すると報告のあるオレキシン、セロトニンおよびニューロペプタイドYをGLP-1分泌神経細胞に投与し、神経応答の有無をパッチクランプ法にて解析した。いずれの食欲調節因子に対してもGLP-1分泌神経細胞からは電気的興奮および間接的(シナプス入力を介した)修飾も観察されなかった。またさらに単一細胞RT-PCR法を用いて分子生物学的側面からも確認を行い、 mRNAレベルでこれらの食欲調節因子に対する受容体が確認されないことから、上記食欲調節因子にてGLP-1分泌神経細胞は修飾を受けていないことが明らかになった。 昨年度までの研究結果から、中枢神経系におけるGLP-1の分泌機序と小腸におけるGLP-1の分泌機序が異なる可能性が示唆された。すなわち小腸のGLP-1分泌因子とされる高グルゴース負荷にて、脳幹GLP-1分泌神経細胞は興奮応答を示さず、むしろ抑制応答が頻繁に観察された。中枢神経系と末梢臓器におけるGLP-1の分泌機序の相違点をさらに詳細に解析する目的で、実験動物の活動時間帯を実験条件に加味し、明期(マウスにとっては休息時間帯)と暗期(活動時間帯かつ摂食時間帯)のそれぞれの時間帯にて細胞外高グルコース刺激に対するGLP-1分泌神経細胞の応答に違いが生じるか否かを電気生理学的に解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属研究機関の変更に伴い、実験機器の移転、研究費移管および移転先にて実験系の再立ち上げに時間を要したため、実験および達成度に若干の遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞外高グルコース刺激に対するGLP-1分泌神経細胞の神経応答が、活動時間帯により異なる応答を示す傾向が観察されているため、今後も同実験条件下にて実験および解析を行い、統計処理に十分なデータ数を集める。またさらに電気生理学的アプローチに加え分子生物学的手法を加えることにて、活動時間帯に依存した中枢神経系におけるGLP-1分泌機序の詳細な解析を行う。
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Causes of Carryover |
所属研究機関の変更に伴う、事務手続きおよび実験系の再構築により実験計画に遅延が生じたため、予定していた額よりも使用額が少なくなり、次年度使用額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
所属機関変更および実験系の再構築も、昨年度末にて完了しているため、従来の実験計画に従い本年度分の試薬等の消耗品購入に充てる予定である。
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