2013 Fiscal Year Research-status Report
新しい抗線維化薬の開発に向けた活性酸素産生酵素NOX4のシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
25460339
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
勝山 真人 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60315934)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 活性酸素 / NADPHオキシダーゼ / 線維化 |
Research Abstract |
NOX4/NADPHオキシダーゼはTGF-βにより発現が誘導され、NOX4が産生する活性酸素種(ROS)は組織線維化に関与する。また細胞増殖に関与することも知られている。 ヒトNOX4遺伝子のTGF-β応答領域を同定するため、肺線維芽細胞株IMR-90からNOX4遺伝子のプロモーター領域約4.2 kbを単離した。トランスフェクション可能でTGF-β応答性のマウス線維芽細胞株NIH3T3に導入してレポーターアッセイを行ったところ、TGF-β応答領域は転写開始点の上流-79と-74の間に存在することがわかった。この領域にはSmad binding element(SBE)のコンセンサス配列が存在した。そこでRNA干渉によりSmad3をノックダウンしたNIH3T3細胞を樹立した。コントロールの細胞に比して、Smad3ノックダウン細胞ではTGF-βに依存したNOX4遺伝子の転写活性化が有意に減弱していた。IMR-90細胞の核抽出液を用い、NOX4遺伝子の-77/-74のSBEを含む配列に対する転写因子の結合をゲルシフトアッセイにより解析したところ、予想に反し、無刺激の細胞で見られる蛋白の結合がTGF-βで刺激した細胞では減弱した。抗体を用いた検討から、この因子はSmad3ではないことがわかった。以上の結果、NOX4遺伝子の-77/-74のSBE近傍にはサプレッサーが結合しており、TGF-β刺激によりSmad3がサプレッサーの結合を解除することにより転写を活性化するものと考えられた。 NOX4由来ROSの標的蛋白を同定するため、cICAT法と質量分析を用いた網羅的解析を行った。NOX4に対するRNA干渉を行い、NOX4をノックダウンした際にシステインの酸化修飾が減少する蛋白を探索したところ、線維化に関与する候補として13種類、細胞増殖に関与する候補として26種類を同定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TGF-βによるNOX4の転写調節機構の解析については、論文の投稿準備中である。競合研究者から先に論文を発表されたものの、申請者は異なる結果を得ており、発表する価値はあると考えている。 NOX4由来ROSの標的蛋白の同定については、線維化に関与するものと細胞増殖に関与するものの両方について、網羅的解析によって候補蛋白を同定済みで、当初の計画通りであると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
NOX4由来ROSの標的蛋白の同定については、線維化に関与するものと細胞増殖に関与するものの両方について、網羅的解析によって候補蛋白を同定済みである。今後は個々の蛋白の機能と線維化・細胞増殖との連関を検証する。線維化に関わると考えられる候補蛋白Aについては、機能が未知である。そこでRNA干渉によりその発現を抑制した際の線維化反応への影響を、遺伝子発現の変化を指標に解析する。細胞増殖に関わると考えられる候補蛋白Bは増殖因子の受容体であり、酸化修飾により活性が制御される可能性が考えられる。そこでNOX4をノックダウンした際の蛋白Bの機能変化について、そのリン酸化を指標に解析する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入を予定していた試薬の年度内の納入が不可能であったため。 前年度購入予定だった当該試薬を次年度に購入する。
|