2014 Fiscal Year Research-status Report
新しい抗線維化薬の開発に向けた活性酸素産生酵素NOX4のシグナル伝達機構の解明
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25460339
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
勝山 真人 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60315934)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 活性酸素 / NADPHオキシダーゼ / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
NOX4/NADPHオキシダーゼはTGF-βにより発現が誘導され、NOX4が産生する活性酸素種(ROS)は組織線維化に関与する。また細胞種によっては増殖に関与することが知られている。 NOX4由来ROSの標的蛋白を同定するため、cICAT法と質量分析を用いた網羅的解析を行った。ヒト肺線維芽細胞をTGF-βで刺激し、NOX4に対するRNA干渉を行って、NOX4をノックダウンした際にシステインの酸化修飾が減少する蛋白を探索したところ、13種類が同定された。この中で3種類の蛋白に注目し、これらの蛋白のシステイン残基の酸化の減少が発現量の減少に由来するのか、あるいは実際に酸化自体が減少しているのかを明らかにするため、定量PCRを行った。線維化に関与することが知られる蛋白Xと蛋白YのmRNAは、NOX4のノックダウンで大きく減少していた。しかしTGF-βによる発現誘導は蛋白X、蛋白Yともに、どちらの細胞においても認められなかった。一方機能未知の蛋白ZのmRNAは、NOX4のノックダウンでわずかに増加していた。実際に蛋白Zの酸化修飾がNOX4由来ROSにより制御されているかどうかをPEGマレイミドを用いたウエスタンブロットで確認したところ、TGF-βで刺激した際に見られる高分子側にシフトしたバンドがNOX4のノックダウンで見られなくなった。以上のことから蛋白Xと蛋白YはNOX4由来ROSによりmRNAレベルで発現が制御されており、転写因子がROSの標的分子であることが示唆された。一方蛋白ZはNOX4由来ROSの直接的な標的であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初TGF-βによるNOX4の転写調節機構の解析を行っていたが、競合研究グループによる論文が発表されたことから、この研究は断念した。 質量分析を用いた網羅的解析により、NOX4由来ROSの標的蛋白の同定を試みたが、直接の標的と思われるものは現在のところひとつしか同定できていない。この蛋白が機能未知の分子であるため、その機能解析に時間を要している。また転写を介してNOX4由来ROSにより発現が増加する蛋白については、転写因子の同定を試みているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
NOX4由来ROSにより転写レベルで制御されていると考えられる蛋白Xのプロモーター解析を行い、NOX4のノックダウンによりレポーター活性が低下することを確認する。NOX4由来ROSによる転写に必須の領域を同定し、結合する転写因子を確認する。同定した転写因子が実際にNOX4由来ROSによる酸化修飾を受けるのかどうかを、PEGマレイミドを用いたウエスタンブロットで確認する。 NOX4由来ROSの直接の標的と思われる蛋白Zは機能が未知であるため、過剰発現やRNA干渉によるノックダウンを行い、α-smooth muscle actinなどの線維化マーカーの発現に与える影響を解析する。
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Causes of Carryover |
年度途中に機器を購入する必要が生じたために前倒し請求を行ったが、当初想定していた価格より安価で購入できたため差額が生じた。また予想通りの結果が得られず、当初購入予定だった試薬の購入の必要がなくなったことにも起因する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度は計画最終年度であり、消耗品の購入に充当する。
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