2014 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病の根本治療薬開発を目指した「アミロイド仮説」の再検証
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25460341
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
丸山 敬 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30211577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 圭介 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (10435860)
柳下 聡介 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (30585592)
淡路 健雄 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (60297546)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβタンパク質 / タウ / 生活習慣病 / 天然化合物 / 野生型マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,我々はこれまでに,培養細胞を用いて,スクリーニングを行い,アルツハイマー病において脳内に蓄積が見られるアミロイドベータタンパク質42(Aβ42)を増加させる天然由来化合物Xを同定し,その解析を実施してきた。昨年度には,スクリーニングとともに,成分Xを含む餌で飼育したマウスの行動解析を中心に実施した。今年度は,そのマウスに由来するサンプルを用いて,主として生化学的解析を実施した。具体的には,神経細胞の活動に依存するタンパク質の発現量やAβを分解する酵素の発現量の解析などを行った。今後は,これらの結果と,培養細胞での結果,行動解析の結果とを比較し,考察していく予定である。 ところで,成分Xの長期的な介入は,生体においては,比較的有益な影響を及ぼすことが,これまでの我々の研究データから示されている。「生活習慣病がアルツハイマー病の危険因子である」ということが,近年示唆されているが,生活習慣病に対する成分Xの介入が,発症リスクの低減をもたらすかどうかは,本研究の目標を達する上で重要な問いである。そこで,今年度は,当研究室でこれまで維持してきた生活習慣病モデルマウスへの成分Xの投与も開始した。 二点目として,アルツハイマー病に特徴的なタンパク質であるタウタンパク質についての解析を同時に進めている。本研究の最終的な目的は,「アミロイド仮説の再検証」があるが,Aβに着目するのみでは,それを達成することは難しい。脳内でのリン酸化タウの増加についての解析も同時に進め,情報を統合していくことが,何よりも重要なことである。これは,アルツハイマー病のみならず,老年性認知症の全体的な理解にも繋がる。そのために,新しいタウ研究モデルマウスを樹立した。本年度はそのモデルを用い,行動解析を実施したり,シナプス関連のタンパク質の解析を実施し,新しいモデルのアルツハイマー病モデルとしての妥当性を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進行していると言えるが,成分Xの同定にはもう少し時間がかかる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
・遺伝子発現の網羅的解析の実施,およびデータの比較 ・成分Xを投与したマウスにおけるタウタンパク質の状態について解析する ・新規タウモデルマウスの解析を更に進める ・成果発表を行う
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Causes of Carryover |
[1] 本研究では使用している化合物の調達のスケジュールとの兼ね合いで,一部の実験計画を翌年度に実施することにしたため。 [2] 成果発表を予定していたが,解析を進める中で更なる解析が必要となり,スケジュールが遅延した。そのため,成果発表に充てる分が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には化合物が調達可能になるので,その実験を実施する。また,成果を然るべき形で発表する。
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