2013 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病発症に関わる神経細胞死を抑制する分子基盤の解明と創薬への応用
Project/Area Number |
25460343
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
橋本 祐一 東京医科大学, 医学部, 講師 (00317330)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 神経科学 / 神経細胞死 / アルツハイマー病 / ヒューマニン / CLSP |
Research Abstract |
申請計画計画に基づき研究を遂行した。その結果以下について論文発表した。 ①ヒューマニン(HN)による誘導遺伝子の同定:これまでHNによる神経細胞保護作用に関与する遺伝子は発見されていなかった。そこでDifferential Display法を用いHN誘導性遺伝子を探索した。その結果、ミトコンドリアに存在するとされていたSH3 Binding Protein 5 (SH3BP5)が誘導されることが分かった。SH3BP5過剰発現で家族性アルツハイマー病原因遺伝子V642I-APPが起こす神経細胞死を抑制し、内在性SH3BP5のノックダウンによってHNの作用は消失した。また、SH3BP5がc-Jun N-terminal kinase (JNK)に結合し、JNKのkinase活性を抑制することを明らかにした。SH3BP5はアルツハイマー病の他にパーキンソン病やてんかんの原因と考えられているJNKの活性化を阻害することが出来る分子であると考えられる。 ②内在性HN様活性分子の同定:抗HN抗体PO4を用いた免疫沈降、それに続くマススペクトル解析により、HN様神経細胞死抑制分子としてcalmodulin-like skin protein (CLSP)を同定した。CLSPのEC50はおよそ50-100nMとHNのそれよりも低い。また、CLSPは主に皮膚で産生され血液脳関門を通過し、三量体HN受容体に作用することを明らかにした。 ③CLSPの健忘症状への効果:スコポラミン誘導性健忘症状をCLSPの腹腔内投与で改善することをin vivoで示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請計画通り順調に進捗していると考えている。前項①については、SH3BP5以外のHN誘導遺伝子についても解析を実施している。前項③については当初予定は平成26年度であったが、予定に先んじて論文公表出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在の進捗状況を維持しつつ、研究成果をさらに発展させていきたく考えている。特に臨床サンプルやモデル動物を利用したトランスレーショナル研究を重要視する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおよそ予定通りに使用したが、遺伝子導入試薬の購入を一部節約したため次年度使用額が生じた。 全額消耗品費として使用する。
|
Research Products
(6 results)