2014 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病発症に関わる神経細胞死を抑制する分子基盤の解明と創薬への応用
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25460343
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
橋本 祐一 東京医科大学, 医学部, 講師 (00317330)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイド前駆体タンパク質 / ヒューマニン / Apollon / 神経細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請計画に基づき研究を遂行した。その結果、以下について論文発表した。 神経細胞死を誘導しないアミロイド前駆体タンパク質(APP)の変異体:我々はこれまでにTGFbeta2が野生型APPの細胞外領域に結合し神経細胞死を誘導することを見出している。本研究では、アルツハイマー病(AD)発症を抑制するとされる変異体(A598T-APP695)を用い、TGFbeta2/wtAPPによる細胞死にこの変異体がどのような影響があるか検討した。その結果、A598T変異体はそれ自身の強制発現にTGFbeta2を加えても神経細胞死を誘導しなかった。一方で、ADを家族性に発症するA598V変異体は神経細胞死を誘導することが分かった。また、APP内のアミロイドβのC末端3残基を欠く変異体でも同様の神経細胞死を観察した。以上のことから、APPが誘導する神経細胞死にはアミロイドβ非依存性の画分が少なからず存在していることが示唆された。 ヒューマニン(HN)による誘導遺伝子の同定:我々はこれまでにHNによる神経細胞保護作用に関与する遺伝子としてSH3BP5を同定している。更なるHN誘導遺伝子の探索を試みたところ、IAPファミリーの1つであるApollonを発見した。Apollon/mRNAおよびタンパク質はin vitroのみならずin vivoでも発現の上昇が認められた。また、Apollon/Bruce過剰発現で家族性アルツハイマー病原因遺伝子V642I-APPが起こす神経細胞死を抑制したが、内在性ApollonのノックダウンによってHNの作用は消失しなかった。このことから、Apollonは生理的なHN活性の中心的なmediatorではないということが分かったが、in vivo、特に海馬や大脳皮質では生理的mediatorである神経細胞も存在する可能性があり今後検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請計画通り概ね順調に進捗していると考えている。 申請計画(1)について上記論文で発表した。申請計画(2)については昨年度内に論文発表を実施し、現在トランスジェニックマウスを作成している。申請計画(4)についてはHN様分子CLSPの神経細胞死抑制活性を阻害する分子として14-3-3sigmaと14-3-3betaを同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の進捗状況を維持しつつ、研究成果をさらに発展させていきたく考えている。特に臨床サンプルやモデル動物を利用したトランスレーショナル研究を重要視する。
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Causes of Carryover |
ほぼ見積もり通りの金額であり、差額を次年度分として使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費に補填し使用する予定である。
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Research Products
(4 results)