2013 Fiscal Year Research-status Report
スフィンゴシン1-リン酸受容体修飾薬による房室伝導ブロックの発生機序の解明
Project/Area Number |
25460344
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
杉山 篤 東邦大学, 医学部, 教授 (60242632)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | スフィンゴシン1-リン酸 / fingolimod / 房室ブロック / Giタンパク |
Research Abstract |
スフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体修飾薬による房室ブロックの発生がS1P受容体を標的とする免疫調節薬の開発を進める際の課題になっている。今年度は、S1P受容体修飾薬fingolimodによる房室伝導の抑制機序を薬理学的および電気生理学的手法を用いて検討した。クリーンモルモット(Std:Hartley、日本エスエルシー株式会社)の腹腔内にthiopental(50 mg/kg)を投与して麻酔を導入し、人工呼吸器(シナノ製作所)を用いてhalothaneを吸入(1-2%)することで麻酔を維持した。血圧測定と薬液投与用のカテーテルを動静脈に挿入した。心電図測定用の電極を四肢に装着した。右房内に刺激用電極カテーテルを留置し、洞調律および固定心拍数(200-300 beats/min)における心電図を測定した。以上の測定項目はポリグラフシステム(日本光電、RM-6000)を用い、サーマルアレイレコーダー(日本光電)に波形を記録した。電気生理学的解析として洞調律拍動に加えて心房をプログラム電気刺激することによりfingolimodの房室伝導に対する作用をより詳細に評価した。用量反応性を検討したところ、予備検討の結果と同様に、fingolimod(0.1 mg/kg, i.v.)で房室ブロックが観察された。次に、Giタンパク阻害薬(pertussis toxin; PTX, 10 micro g/kg, i.v.)を用いてfingolimodによる房室伝導の抑制機序を解析した。PTXはfingolimodによる房室ブロックの発生に影響を示さなかった。Fingolimod による房室ブロックの発生はGiタンパクを介さないのか、あるいは今回用いたPTXの用量ではGiタンパクを十分抑制できなかったのか、更なる検討が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
薬理学的手法を用いてfingolimodによる房室伝導の抑制を解析する際に、in vivoモデルではGiタンパク阻害薬などを全身投与するため、心臓局所における阻害薬の濃度が上がらず、遮断作用が不十分となり、房室伝導に対するfingolimodの作用機序を正確に評価できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
心臓を摘出し、ランゲンドルフ標本を作製して当初の計画通りの電気生理学的・薬理学的評価を実施することで対応する。ランゲンドルフ標本でもin vivoモデルと同レベルの評価を実施する技術は当研究室で既に確立されている。また、予定していた刺激薬や遮断薬で十分な解析ができない場合にはS1P受容体サブタイプ選択的刺激薬や遮断薬などを適宜利用する予定である。
|
Research Products
(14 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 腎交感神経除去術の慢性房室ブロック犬の心血管系に対する作用:シルニジピンおよびアミオダロンとの比較
Author(s)
小原 浩, 中村裕二, 曹 新, 横山浩史, 中瀬古寛子, 安東賢太郎, 村越伸行, 佐藤明, 青沼和隆, 高原章, 池田隆徳, 杉山 篤
Organizer
第87回日本薬理学会年会
Place of Presentation
仙台国際センター、仙台市、宮城県
-
-
-
-