2013 Fiscal Year Research-status Report
発達障害治療を指向した脳部位特異的ミクログリアにおけるmicroRNA機能解析
Project/Area Number |
25460345
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
鈴木 秀典 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30221328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 文仁 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20360175)
坂井 敦 日本医科大学, 医学部, 講師 (30386156)
永野 昌俊 日本医科大学, 医学部, 講師 (60271350)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発達障害 / 自閉症 / 発達障害モデル動物 / ミクログリア / miRNA / 扁桃体 / オープンフィールド試験 / 中脳背側縫線核 |
Research Abstract |
本研究では発達期における脳部位特異的なミクログリア機能が行動異常の発現に関与するとの仮説のもと、micro RNA(miRNA)に焦点をあて、発達障害病態モデル動物におけるミクログリア特異的miRNAについて発現変化とその機能を検討することを目的とした。 発達障害モデルマウスとして、本年度は遺伝子工学的に作製されたPatDp/+自閉症モデルマウスを用いた。ミクログリアに焦点を絞る前に、脳組織全体を用いてモデル動物において発現変化しているmiRNAのアレイ解析を行ったが、疾患特異的な変化は見いだせなかった。続いて、生後1週と5週のモデル動物における脳スライス標本をミクログリアのマーカーで染色し、ミクログリアの形態と量的変化を指標として、病態の責任部位と推測されている前頭前野、海馬、扁桃体を中心に網羅的にスクリーニングした。前頭前野と海馬では組織学的に顕著な変化は見られなかった。一方、生後1週の扁桃体において、染色強度が低下する傾向がみられた。現在、定量的な解析を開始し、ミクログリアマーカーの定量的PCRおよびミクログリア数の測定を行っている。ミクログリアの組織学的解析と同時に、モデル動物の行動解析を行ったところ、生後5週時点でのオープンフィールド試験において、野生型に比べより不安様行動を示すことが確認された。扁桃体も不安行動に関与する脳部位と考えられるため、治療薬効果判定の行動指標となりえると考えられた。 モデル動物におけるニューロン-グリア相互作用に伴い変化する電気的特性およびシナプス伝達機能について、本動物で異常が示唆されているセロトニン神経系について、細胞体が集蔟する中脳背側縫線核において電気生理学的解析に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度は、発達障害モデル動物における脳部位特異的ミクログリアのmiRNA発現変化の検討を行うために、検討対象とする脳部位をスクリーニングし、候補部位を絞ることを目的としていた。組織学的な解析から、扁桃体を対象の1つとすることが方向性として示された。また、行動実験から、参照とすべき行動指標も見いだせた。先行研究から、セロトニン神経系に焦点をあてることの妥当性も考えられたため、セロトニン神経細胞体が集蔟する中脳背側縫線核において電気生理学的解析にも着手した。従って、研究は当初の計画どおり概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本モデル動物を用いて、扁桃体を検討対象の1つとして、ミクログリアマーカーの定量的PCRおよびミクログリア数の測定を行い、定量的な解析結果を得る。変化を確認できた場合、ミクログリア活性を修飾する薬物を投与し、ミクログリアの発現変化を検討する。併せて、当該薬物によって行動学的な修飾もみられるかを観察する。その他の脳部位として、本モデル動物および自閉症で異常が示唆されているセロトニン神経系について、細胞体が集蔟する中脳背側縫線核およびここに入力する前頭前野もひき続き検討対象とする。これらの脳部位では電気生理学的解析を中心に行い、細胞の電気生理学的特性の同定、およびミクログリア関連薬物の効果を検討する。 研究計画では複数のモデルを検討対象とする予定であったが、当面は、本モデルを中心に脳部位特異的なミクログリアmiRNAの発現変化とその機能解析を行っていきたいと考えている。
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Research Products
(6 results)