2013 Fiscal Year Research-status Report
脳心腎連関におけるエリスロポイエチンのADMAを介する臓器保護機序の解明
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25460347
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中田 徹男 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30237292)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | erythropoietin / 臨床薬理学 / AGE / AGE receptor / ADMA / Nitric Oxide / NADPH / 高血圧 |
Research Abstract |
Erythropoietin(EPO)は、糖尿病は血管障害の発症の主要なリスクである。本研究では、糖尿病性大血管障害に対するEPOの血管保護作用について検討した。 Recombinant human EPO (150 U/kg, 3 times/week, s.c.) を4週間のstreptozotocin(STZ)誘発糖尿病ラットに投与した。大動脈リング標本のアセチルコリンによる内皮依存性血管拡張反応はSTZ群で低下し、EPOの投与により改善した。STZ群ではControl群に対し、大動脈組織におけるマクロファージの浸潤と、接着分子、MCP-1の発現増大を認め、EPO群ではこれら炎症因子の抑制が認められた。大動脈組織におけるリン酸化Aktおよび一酸化窒素(NO)合成酵素および血漿NOx値もSTZ群で低下し、EPO投与により改善された。また大動脈組織におけるNADPH oxidase m-RNA発現および血中malondialdehydeの増加もEPOは抑制した。またEPOは血圧、血糖値、HbA1c値に影響を与えることなく、STZ群で見られた大動脈のadvanced glycation end products(AGE)受容体の発現を抑制した。 以上より、EPOは抗酸化、抗炎症効果を介しSTZ糖尿病モデルラットの大血管障害抑制効果を発揮することが示された。今後、ADMAとAGEおよびAGE受容体の関与について、さらに検討を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本検討ではErythropoietin(EPO)の血管保護作用を、血管内皮機能の面から検討することを目的とした。糖尿病モデルラットを用い、糖尿病性血管障害の原因としての糖化最終産物(AGE: advanced glycation end products)とAGE受容体に対するEpoの影響を見ることが目的のひとつであり、今回、EPOが糖尿病モデルラットの血糖値やHbA1c値に影響することなく大動脈のAGE受容体の発現を抑制することを示した。併せて、EPOが血管壁および循環系酸化ストレス産成系の抑制効果と内皮由来一酸化窒素産成系の高進作用を示すことも明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
Erythropoietin(EPO)の血管保護作用を、血管内皮機能の面から検討することを目的とし、糖尿病モデルラットの大動脈一酸化窒素(NO)の産生に関わるADMAの変化を検討する。またEPOがADMAに及ぼす影響を検討する。 変化が明らかとなった場合には、ラット大動脈培養内皮細胞を用い、in vitroでのmRNA、タンパク、サイトカインの検討を進めその機序を明らかとしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画の中のDOCA食塩負荷高血圧モデルラットを用いた検討を中心に進め、易脳卒中発症モデルラット(SHRSP)を用いた検討が行われなかったため、この動物代相当額が次年度への繰り越しとなったため。 易脳卒中発症モデルラット(SHRSP)を用いた検討を効率よく進めることで、計画全体の進行を調整するとともに、この動物代金が適正に使用できる見込みである。
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Research Products
(9 results)