2013 Fiscal Year Research-status Report
リン酸化シグナルによるアポトーシスの時空間的制御機構の解明
Project/Area Number |
25460355
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
野口 拓也 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (20431893)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | Apoptosis / TNF / Fas / Caspase-8 / Kinase |
Research Abstract |
アポトーシスは不要な細胞を除去するために引き起こされるプログラム細胞死の一様式であり、細胞の分裂や分化・増殖と同様に生理的な細胞活動と捉えられているが、その制御シグナルの破綻が多くの疾患と密接に関連していることが挙げられ、アポトーシスの制御機構に基づいた新たな治療法の確立が望まれている。しかし、アポトーシス関連分子を標的とした疾患治療薬の開発は未だ途上の段階にあり、今後さらにアポトーシス誘導分子の詳細な活性化調節機構を解明して行くことが必要とされている。 このような背景のもと、申請者はFasやTNFR といったデスレセプターを介したアポトーシスに関与するキナーゼを網羅的に解析し、8種類のキナーゼがアポトーシスの誘導を正に制御していることを突き止めた。申請者が行ってきたこれまでの解析により、これらのキナーゼがアポトーシス誘導能を発揮するには自身のキナーゼ活性が必要であることがわかっている。このことから、それぞれのキナーゼが特異的な基質を刺激依存的にリン酸化していることが考えられる。 当該年度はそれぞれのキナーゼのリン酸化基質の探索を行ってきた。リン酸化基質が同定されたキナーゼに関してはアポトーシス誘導における機能的役割を主に生化学的・分子生物学的手法を用いて解析してきた。デスレセプターによるアポトーシスは、受容体複合体の形成が必須であるが、解析したキナーゼ群はこの受容体複合体の構成因子をリン酸化することによって複合体形成を制御し、結果としてアポトーシスの誘導を制御しているということを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画は、スクリーニングで同定されたキナーゼの基質を同定するための最適条件の検討であったが、このステップは予定より早く終了し、すでに基質の同定に至ったキナーゼもある。また、もうひとつの研究計画である『アポトーシス誘導における機能的役割の解析』も順調に進み、アポトーシス誘導の際に形成される複合体形成がリン酸化シグナルによって緻密に制御されていることを突き止めた。
|
Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングで同定されたキナーゼ群の基質を同定をさらに押し進め、それぞれのキナーゼの機能的役割を解析することで、アポトーシス誘導におけるリン酸化シグナルの役割を明らかにする。 リン酸化基質の同定に関しては、当初の計画通りに質量分析計を用いて基質のみならずリン酸化部位の同定を目指す。また、基質のリン酸化はすでに導入済みであるフォスタグ技術を用いて解析を行っていく。 さらに、これらの機能解析結果をもとに、各キナーゼ間の関連を探ることで個々の結果の統合を図り、アポトーシス誘導機構におけるリン酸化シグナル伝達経路マップを作り上げる。また、このマップ上に浮き彫りとなった疑問点や不明点の解析を行い、リン酸化シグナル伝達経路によるアポトーシスの時空間的制御機構の詳細を解明る。
|