2013 Fiscal Year Research-status Report
「胃分化」の分子基盤解析に基づく胃発癌ならびに胃癌組織型決定機構の解明
Project/Area Number |
25460381
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山道 信毅 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30463897)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | MUC5AC / gastric cancer / gut differentiation / gene regulation / gli |
Research Abstract |
胃分化マーカーMUC5ACに注目し、早期胃癌周囲粘膜・内視鏡切除早期胃癌・外科切除進行胃癌における発現を免疫染色で解析したところ、胃癌の進展に伴ってMUC5AC発現が低下する傾向を認められた。次にMUC5AC遺伝子上流の様々な欠失変異を用いたLuciferase asssayを行なったところ、MUC5AC発現に必須な翻訳開始点上流125~110bpの領域を発見した。多くの哺乳類で高度に保存されたこの15bpにはGli結合配列GBSが含まれ、over expression・knock downによりMUC5ACがgliの制御を受けること、クロマチン免疫沈降実験によってGli1がこの領域に動員されることが分かった。消化管由来30細胞株・各組織由来ヒト正常RNAを用いた解析を行なうとGli1・Gli2は諸細胞株・全組織に様々に発現しており、明らかな細胞・組織特異性を示すMUC5ACとの発現相関は認めず、GliがMUC5AC発現の必要因子であるものの、十分因子でないことが分かった。Luciferase asssayで更に上流を調べると、2000~4000bp上流により強い転写活性が認め、同領域にはCpGアイランドが存在していた。DNAメチル化阻害剤・ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬によってMUC5AC欠失細胞株のMUC5AC発現が回復することから、epigeneticな制御も関与することが明らかとなった。主に腸上皮化生を伴う慢性萎縮性胃炎を発生母地として生じる胃癌は、消化管分化の制御の異常が発癌に強く関連していると考えられており、MUC5ACの発現制御にHedgehogシグナル伝達経路(Hh/Ptch/Smo/Gli)のエフェクター分子であるGliが必須であるという結果は、胃分化の破綻から発症する胃癌の分子基盤解明に重要な結果と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胃分化マーカー遺伝子の中で最も良く知られたMUC5AC遺伝子について、その発現制御の解明に成功しており、現在はデータ解析を終えて、投稿中である。また、MUC5AC以外の胃分化マーカーとしてCathepsin Eの同定に成功しており、こちらは既にPLoS One 2013, 8:e56766.に発表している。Cathepsin E遺伝子の発現制御については制御因子・制御機構の同定に難渋しているが、現在も精力的に解析を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、胃分化マーカー遺伝子の同定・発現制御の解明を継続するとともに、腸分化マーカー遺伝子の発現制御解明、臨床検体における胃分化マーカー遺伝子・腸分化マーカー遺伝子の発現解析を行なってゆく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
導入予定であったshRNAレンチウイルスベクターのシステムの導入がやや遅れているため、次年度使用額が生じた。 shRNAレンチウイルスベクターのシステムの導入を平成26年度の前半に予定している。
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Research Products
(10 results)