2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜ドメイン機能を制御するシグナル及び代謝基盤の解明
Project/Area Number |
25460385
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山内 祥生 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00444878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 鋼一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80211530)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 代謝 / mTOR |
Research Abstract |
細胞膜ドメインは、癌細胞の悪性形質発現に極めて重要な役割を果たしているが、その構築や維持に関する詳細なメカニズムはあまり知られていない。本研究課題は、メラノーマ細胞を中心とする癌細胞における細胞膜ドメイン機能を制御するシグナル及び脂質代謝を中心とした代謝基盤を理解し、悪性腫瘍に対する新しい治療戦略を見いだすことを主な目的としている。平成25年度は、以下の2点につき解析を行った。 1.mTORシグナルがSREBPを制御するメカニズムについて、ヒトメラノーマ細胞だけでなくいくつかのヒト癌細胞を用いて検討した。その結果、メラノーマ細胞だけでなく肺癌細胞や卵巣癌細胞においてもmTORの阻害がSREBPの不活化を引き起こすことが示された。SREBP活性化の主要な調節因子となっている小胞体コレステロールについて検討を行った結果、mTORが小胞体コレステロールを調節していることが示唆された。また、SREBPのシャペロンタンパク質と機能しているSCAPの恒常的活性化型を発現する変異細胞では、mTOR阻害によるSREBPの不活化が引き起こされないことが示された。これらの結果は、mTORシグナルが小胞体コレステロールを制御することでSREBPの活性化を制御していることを強く示唆した。 2.新規SREBP阻害剤がヒトメラノーマ細胞における脂質代謝遺伝子の発現や細胞増殖能、細胞運動能に及ぼす影響についても検討を行った。その結果、使用したSREBP阻害剤は、SREBPの活性化やSREBP標的遺伝子の発現を顕著に抑制した。また、このSREBP阻害剤はBRAF遺伝子にオンコジェニック変異を持つヒトメラノーマ細胞だけでなく、BRAFとPTENにオンコジェニック変異を持つメラノーマ細胞の増殖も顕著に抑制した。さらに、このSREBP阻害剤はメラノーマ細胞の運動能も抑制することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した研究が順調に進展している。特にmTORシグナルがSREBPの活性化を制御するメカニズムについて解析を行い、mTORシグナルが小胞体コレステロールを調節していることが多くの癌細胞に共通する調節機構であることが示されたことは大きな成果であると考えられる。これらの成果は、国内の学会で発表された。
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Strategy for Future Research Activity |
新規SREBP阻害剤による悪性形質制御についてin vitro解析だけでなく動物を用いたin vivo解析も行うことで、さらに検討を進める。また、mTORシグナルが小胞体コレステロールを制御するメカニズムについても解析を進める。
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Research Products
(7 results)