2014 Fiscal Year Research-status Report
ST2の細胞増殖抑制効果発現機序の解明と抗がん作用の検証
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25460393
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
富永 眞一 自治医科大学, 医学部, 教授 (70155571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多胡 憲治 自治医科大学, 医学部, 講師 (20306111)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ST2 / ST2L / IL-33 / NIH-3T3 / 細胞増殖 / シグナル伝達 / 抗がん作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、初年度に詳細な検討を行って確立した、マウスNIH-3T3細胞を用いた細胞増殖Assay Systemを駆使して、IL-33の増殖に及ぼす効果、分泌型ST2、膜貫通受容体型ST2Lの増殖に及ぼす効果を検討した。さらに、内因性のST2遺伝子産物の影響を除外するために“ノックダウン細胞”を使った実験を行った。shRNAに感受性のあるST2遺伝子上の候補配列は3箇所あったが、いずれもST2とST2L両者に共通する部分であったため、ST2とST2Lを個別に抑制することができず、両者を同時に抑制した場合の効果を判定した。 IL-33の効果は当初考えていたよりも複雑で、増殖を続けている細胞にはその増殖を促進するように働くが、一旦増殖を止めた静止期の細胞が刺激を受けて増殖を開始する際にはそれを抑える働きがあることが分かった。この結果は最近論文にして報告した。 分泌型ST2は当初の作業仮説ではIL-33と結合して増殖を抑制すると考えていたが、今までの実験ではむしろST2は増殖を促進するというデータが得られている。特に“ノックダウン細胞”を用いたST2/ST2L発現抑制の実験では予想以上に顕著な増殖抑制効果が得られた。従ってIL-33受容体である膜貫通受容体型ST2Lの細胞増殖に及ぼす影響も個別に調べる必要が生じてきた。安易に動物実験に入る前に、培養細胞によるさらなる検討が必要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
作業仮説と異なる結果で出てきているという意味では、当初の予測通りの達成度と言うわけにはいかないが、新しい実験事実が得られたことはむしろ大きな成果であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
内因性に誘導されてくるST2遺伝子産物の存在が外から加えたST2の効果をみるのに邪魔になると考えて“ノックダウン細胞”を使った実験を行ったが、ST2とST2L両方の発現を抑制する細胞しか得られなかった。従ってST2のみを発現するshRNA-resistant vector、ST2Lのみを発現するshRNA-resistant vectorをそれぞれ構築し、それらを“ノックダウン細胞”に加えてST2とST2Lのどちらが増殖を促進しているのか確認することにした。 動物実験の3Rの原則から考えても、培養細胞での解析結果が積み重ねられてからマウスを使った実験に進みたい。
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Causes of Carryover |
培養細胞を用いた実験が予想以上の規模で必要になったが、一方で動物実験の開始が遅れたために、全体としては余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
“ノックダウン細胞”とそれをさらに改変した細胞を用いた実験がかなりの規模で必要とされるため、細胞培養用物品費に使用する。
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Research Products
(4 results)