2014 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集を施したヒト気道上皮細胞株を基盤とするKRASシグナル経路の解析
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25460395
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
シバスンダラン カルナン 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30557096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 裕之 愛知医科大学, 医学部, 教授 (20344335)
細川 好孝 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60229193)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | KRAS / 気管支上皮 / 肺癌 / 遺伝子改変 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、非癌ヒト気管支上皮由来の不死化細胞株に対してアデノ随伴ウイルスベクターを用いた遺伝子改変を行い、内在性の野生型KRASアレルに癌原性の活性化型KRAS変異を導入(変異ノックイン)した。これにより、KRASアレル2本中1本における活性化変異の有無を理論上唯一の遺伝的相違とする細胞クローンのペアを樹立した。また、樹立した細胞クローンペアの表現型を様々な生化学的・分子生物学的解析によって比較し、間質様の細胞形態の変化、軟寒天培地におけるコロニー形成能の獲得、細胞運動能とマトリゲル浸潤能の亢進、下流シグナル伝達媒介分子MEKの活性亢進など、KRAS変異ノックインによる細胞の形質転換を示唆する所見を見出した。 本年度、肺癌発生に関与する遺伝子の候補を探索するため、上記の細胞クローンペアのマイクロアレイ解析を行い、KRAS変異ノックインにより発現変動をきたす遺伝子群を同定した。検体は、低濃度血清含有培地で培養したKRAS変異ノックインクローン3個と野生型KRAS遺伝子を持つ対照クローン4個(親株1検体を含む)からRNAを抽出して用いた。データ処理はFeature Extractionソフトウェアを、クラスター解析はGene ClusterおよびTree Viewソフトウェアを用いて行った。 クラスター解析の結果、7個の検体はKRAS変異ノックインクローンの3検体と対照群4検体に2大別され、KRAS変異ノックインにより遺伝子発現プロファイルが明らかに変化することが示された。また、KRAS変異ノックインクローンにおいてCOL1A2やCOL5A2など上皮間葉転換の指標となる遺伝子の発現が亢進し、CDH1やMST1Rなど上皮マーカー遺伝子の発現が低下していた。これは、KRAS変異ノックインクローンの紡錘状の細胞形態の変化や細胞運動能・マトリゲル浸潤能の亢進と符合する結果と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた細胞クローンペアの遺伝子発現解析は概ね予定通りに行われ、KRAS変異ノックインにより発現が亢進する遺伝子群からKRASシグナルの媒介因子の候補を選定することに成功した。この結果は、KRAS遺伝子1アレルの活性化変異によって誘導される形質転換の態様を明確にするための一助になると考えられ、本研究はここまでおおむね順調に進展しているものと判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
KRAS変異ノックインクローン群において発現が亢進している遺伝子のうち、GO解析などの結果から癌の分子病態に関係すると思われる遺伝子を変異KRASシグナル媒介分子の候補と考え、KRAS変異癌との関連性を検討する。具体的には、候補遺伝子群に対してRNA干渉法または産物タンパク質の特異的阻害剤の添加などの方法で機能阻害を行い、低血清培地や軟寒天培地における増殖能やコロニー形成能など癌細胞としての特性に対する影響を解析する。これにより、変異KRASシグナルの重要な媒介分子の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
KRAS変異ノックインクローン群と対照細胞群はKRAS遺伝子1アレルにおける活性化変異の有無だけを遺伝的相違とするため、マイクロアレイ解析により得られる変異KRASシグナルの媒介因子の候補は少数に留まると想定していた。しかし実際には、様々な遺伝子がKRAS変異ノックインにより発現亢進したため、今後解析すべき遺伝子は多数に及ぶことになった。そのため、当該実験に必要な経費を次年度使用額として平成27年度に移行させることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、各種分子に対するRNA干渉用ベクターの準備、単層培養・半固形培地培養をはじめとした各種アッセイに必要な特異的阻害剤・MTT試薬・軟寒天培地などの購入、細胞培養に必要な培地・血清・増殖因子およびディスポ器具(細胞培養用プレート・フラスコ・ディッシュ・チューブ)などの購入に充てる予定である。
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[Journal Article] Plumbagin suppresses tumor cell growth in oral squamous cell carcinoma cell lines2015
Author(s)
Ono T, Ota A, Ito K, Nakaoka T, Karnan S, Konishi H, Furuhashi A, Hayashi T, Yamada Y, Hosokawa Y, Kazaoka Y
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Journal Title
Oral Dis
Volume: -
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] High-resolution 400K oligonucleotide array comparative genomic hybridization analysis of neurofibromatosis type 1-associated cutaneous neurofibromas2015
Author(s)
Asai A, Karnan S, Ota A, Takahashi M, Damdindorj L, Konishi Y, Hossain E, Konishi H, Nagata A, Yokoo K, Hosokawa Y
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Journal Title
Gene
Volume: 558
Pages: 220-226
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Clonal heterogeneity of lymphoid malignancies correlates with poor prognosis2014
Author(s)
Suguro M, Yoshida N, Umino A, Kato H, Tagawa H, Nakagawa M, Fukuhara N, Karnan S, Takeuchi I, Hocking TD, Arita K, Karube K, Tsuzuki S, Nakamura S, Kinoshita T, Seto M
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Journal Title
Cancer Sci
Volume: 105
Pages: 897-904
DOI
Peer Reviewed
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