2014 Fiscal Year Research-status Report
リン酸化p62とオートファジーが関与するシグナル伝達機構の解明
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25460400
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
一村 義信 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主席研究員 (80400993)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 選択的オートファジー / p62 / Keap1-Nrf2システム |
Outline of Annual Research Achievements |
p62はユビキチン結合ドメインを介して、ユビキチン鎖が結合した変性タンパク質や異常オルガネラの周囲に集積し、それらの標的物とともにオートファジーで選択的に分解されるタンパク質である。オートファジー不全やp62の過剰な発現により、細胞質内にp62は著しく蓄積し、ユビキチンとともに凝集体を形成する。p62-ユビキチン陽性凝集体は、癌や神経変性疾患の細胞で認められており、選択的オートファジーによるp62の代謝が細胞の恒常性維持に極めて重要である。 Keap1-Nrf2システムは、ストレスに応答した転写因子Nrf2の活性制御機構である。通常状態では、Nrf2はKeap1と相互作用することでユビキチン化を受けプロテアソームで速やかに分解されている。一方、細胞がストレスに暴露されると、Keap1がNrf2から解離するためNrf2が安定化し、生体防御系遺伝子の発現が誘導され、細胞は保護される。 我々は、p62のKeap1結合領域に存在するセリンがリン酸化されるとKeap1との結合親和性が高まり、Keap1-Nrf2の結合を競合的に阻害し、Nrf2を活性化させることを明らかにした。ある種のヒト肝細胞がんでp62の発現が亢進し、リン酸化を受けることで、Nrf2が活性化されていることが見出されている。 したがって、リン酸化p62のリン酸化阻害剤、もしくはリン酸化p62とKeap1との相互作用を阻害する化合物は、新規な抗癌剤の候補となる。本年度は、リン酸化p62とKeap1との相互作用を阻害する化合物を化合物ライブラリーからスクリーニングした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リン酸化p62とKeap1との結合を阻害する化合物のスクリーニングを進め、候補化合物を同定した。現在、化合物の肝癌細胞への効果を検証し、論文投稿の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
p62のキナーゼは複数存在することが示唆されており、未だそれらの全ては同定されていない、今後、siRNAライブラリーなどを用いた新たなスクリーニング法を利用して研究を着実に推進させる予定である。
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Research Products
(3 results)