2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25460408
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
五十嵐 友紀 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 講師 (60469393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 律子 産業医科大学, 医学部, 助教 (20449945)
荻ノ沢 泰司 産業医科大学, 医学部, 助教 (20596720)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / 心房細動 / ギャップ結合 |
Research Abstract |
ラット心房筋からcDNAライブラリーを作製しようとしたが、様々な手法を用いても良質なライブラリーの作製には至らなかった。このためヒトcDNAライブラリーを用いて以下の実験を行った。 ヒトConnexin40(Cx40)およびCx43遺伝子のcoding sequenceをターゲットとしたプライマーをデザインし、ヒトcDNAライブラリーを鋳型としRT-PCRを行った。単離されたcDNAはクローニング・ベクターに挿入され、シークエンス解析により評価を行った。Cx40にはcDNA内にアミノ酸変化を伴うpoint mutationを認めたために再度PCRを行った。2回目のシークエンス解析ではmutationは認めず、1回目はPCRエラーによるものと考えられた。Cx43のシークエンス解析では問題を認めなかった。次に、それぞれのcDNAをMammalian発現ベクターおよびAAVシャトル・ベクターに挿入した。得られたベクターをLipofection法にてHEK293細胞にトランスフェクションし、48時間後にウエスタン・ブロット解析でCx40およびCx43の良好なタンパク質発現を確認した。 次に、Cell Biolabs社のプロトコールを用いてCx40およびCx43発現AAVベクターを作製し、精製した後にウイルス・タイタ―を測定した。作製されたウイルス・タイタ―は1×1012 GC/ml程度と良好であり、トリプシンさらにpoloxamerF127を加えてウイルス溶液を作製した。 これまでの予備実験において、ブタの心房筋に-galactosidase reporter geneを含む4種類の異なるserotype(1, 6, 8, 9)のAAVを遺伝子導入した結果、serotype1が最も高率に発現効果が得られた。従って今回はこのserotype1を用いて発現ウイルスを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の平成25年度に行う実験に関しては、概ね達成できたものと考えられる。さらに平成27年度に予定しているConnexin(Cx)タンパク質の細胞内動態メカニズム解明の試料作製も同時に行った。この実験では外因性のCxタンパク質にGFPやYFPなどのtagをつけることにより内因性のCxとの鑑別を行い、実験を遂行する予定である。まずClontech社のpEGFPベクター(CMV-GFP-Multiple Cloning Site)にCx40およびCx43のcDNAを挿入しプラスミドを作製した。Cxタンパク質はC末端がリン酸化などの修飾を受けやく、GFPのtagをつけるとすればN末端が望ましいと考えられたために上述のベクターを選択した。得られたプラスミドはLipofection法によりHEK293細胞にトランスフェクションされ、48時間後ウエスタン・ブロット解析にてGFP-Cx融合タンパク質の発現を確認することとした。Cx40は良好な融合タンパク質を確認できたが、Cx43は発現を確認することが出来なかった。今後原因検索を行って行く予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に作製したウイルス溶液を用いて平成26年度は動物実験を行う予定である。 30匹のラットを10匹ずつ、コントロール群、Cx40の遺伝子導入群、Cx43の遺伝子導入群、それぞれ3つのグループに分ける。吸入麻酔導入後、清潔条件下でラットの開胸術を行い、心臓電気生理学検査を行う。次にウイルス溶液を心外膜側から両側の心房筋へ直接塗布することで遺伝子導入を行い、最後に上行大動脈を部分結紮し後負荷を作製した後に閉胸する。2ヵ月後に再度開胸術を行い、上述の電気生理学検査を行う。最後に心房筋を切除しqPCRおよびウエスタン・ブロット解析により導入したタンパク質の発現を評価する。また免疫組織検査ではConfocal imagingにてCxの局在発現を観察し、機能的Cxと非機能的Cxの発現を評価する。 本研究においては心房筋に特異的な遺伝子導入効率を評価するとともに、心房細動発生率がどの様に変化するのかを確認することを最大の目的としている。 上述の動物実験においてはまずコントロール実験を行い、条件を最適化しておくことが重要と考えられる。特に麻酔導入法、開胸術式、心臓電気生理検査プロトコール、ウイルス導入法、後負荷作製法、など手術時の各段階において詳細な条件設定を必要とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子クローニング実験の際に、既存する試薬、培養細胞、培養液などを使用したことで新規に購入する物品を削減することが可能であったため。また試薬等を予算より安価に購入することが可能であったため。 ウイルス溶液を再作成する必要がある際に、試薬の追加購入を検討している。
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