2014 Fiscal Year Research-status Report
転移・再発乳癌におけるエストロゲン作用の解明:内分泌療法の向上をめざして
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25460410
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 貴 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10261629)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 乳癌 / エストロゲン / 遠隔転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題に関する、平成26年度の主な研究成果は以下のごとくである。 1. エストロゲン受容体(ER)陽性乳癌組織の網羅的マイクロアレイデータを術後再発ステータスとの関連性の面より解析し、thymidylate synthase (TS)を新たに抽出した。178例の病理組織標本を用いてTSの発現意義を免疫組織化学的に解析した結果、TSはエストロゲン依存性増殖に関与し、ER陽性症例において独立した再発及び予後不良因子であることを初めて明らかにした。この結果はHistology and Histopathology誌に受理され、現在in pressである。 2. 手術時に遠隔転移を来していたER陽性乳癌(ER陽性Stage IV)症例におけるmicroRNAの発現をPCRアレイを用いて網羅的に解析し、miR-1を新たなエストロゲン依存性転移関連microRNAとして見いだした。そこで121例の乳癌組織を用いてmiR-1の発現をin situ hybridization法で解析した結果、miR-1は20%の症例で乳癌細胞で過剰発現し、乳癌の増殖や転移と正相関した。更にmiR-1ステータスは独立した再発及び予後不良因子であった。この結果は現在一流欧米誌に投稿中である。 3. 代表的な抗エストロゲン剤であるタモキシフェンに抵抗性を示すER陽性乳癌細胞株を用いたin vivo実験をスタートさせた(まだ報告できる結果は得られていない)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. TSの論文が受理され、miR-1も現在論文投稿中である。 2. ER陽性Stage IV症例の凍結検体が8例集まった。当初予定数(15例)には届かなかったが、十分に研究を進められる検体数である。 3. 一方今年度はTSやmiR-1の解析に多くの時間を割いたため、in vivo実験にやや遅れがでている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. miR-1は昨年度の研究成果で報告したGATA4を制御している可能性もあり、本研究課題においてきわめて重要と考えている。来年度はmiR-1の作用機序を精査する予定である。 2. 今まで収集したER陽性Stage IV症例を用いて網羅的マイクロアレイを行い、Stage IV症例におけるエストロゲン応答遺伝子の特性を解析する。 3. タモキシフェン抵抗性ER陽性乳癌細胞のin vivo実験を行なう。
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Causes of Carryover |
in vivo実験がやや遅れたため、1,744円未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
in vivo実験は次年度に継続するので平成27年度とあわせて未使用額をその経費に充てることにしたい。
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