2014 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸部腺癌におけるHPV感染と遺伝子異常の検討-胃型形質との関係を含めて-
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25460411
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐野 孝昭 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90292581)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 子宮 / HPV / 腺癌 / 胃型形質 / SMILE / ISH法 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮頸部腺癌の中から胃型腺癌を抽出する過程で、一部の腺癌や腺扁平上皮癌の上皮内病変中に粘液杯細胞の混在する、分化傾向の不明な病変が存在する症例を経験した。これらは子宮頸部移行帯に発生するStratified mucin-producing intraepithelial lesions (SMILE)と言われ、異型を伴う重層扁平上皮内に粘液杯細胞が混在するまれな上皮内病変であり、腺系と扁平上皮系の両方向への分化を示すことを特徴とする。SMILEとHPVとの関連について詳細はこれまで明らかではなかった。そこで、In situ hybridization (ISH)法にてHPVの存在の有無と局在を検討し、SMILE病変中の粘液の性質、分化傾向等を解析した。 症例は2例で、いずれも30歳代で、円錐切除検体でSMILEを伴う微小浸潤癌と、SMILEを伴うCIN3と診断された。それぞれHPV16型とHPV18型が陽性であった。組織学的にはいずれもCIN3病変の上皮内及び腺侵襲部分の一部で、細胞質内粘液を有し印環細胞様の形態をとる異型細胞が上皮の全層にわたり増殖していた。異型粘液杯細胞を含め病変全体にp16強陽性であった。p40とAlcian blueの重染色では、異型粘液杯細胞はp40陰性であるが、粘液細胞以外にもp40陰性の細胞が多数認められた。よって、SMILE病変内には、明らかに粘液を産生する腺系細胞、扁平上皮系細胞のほかに、腺系への分化を示す腫瘍細胞もしくはいずれにも分化していない未分化な腫瘍細胞が混在している可能性が示唆された。粘液杯細胞は胃型形質を示さなかった。HPV16/18型に対するISH法を行ったところ、異型扁平上皮細胞核と、粘液杯細胞の核に陽性シグナルが確認された。今回のISH法の結果より、SMILE病変内の粘液杯細胞はHPV感染を示す腫瘍細胞であることが明らかとなった。ISH法にてSMILEの粘液杯細胞核にHPV signalを証明できたのは今回の2例が初めてと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに、胃型腺癌の抽出と、免疫組織学的な検討が完了している。また、腺癌と扁平上皮癌の両方に分化する可能性のある前駆病変としてSMILEの解析を行った
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Strategy for Future Research Activity |
胃型腺癌、腺扁平上皮癌、SMILEを含め、その発生原因と考えられる遺伝子異常(LKB1、RAS、GNAS等)の検索を行う予定である。また、ALDH1以外の腫瘍幹細胞マーカーの発現を検討することも予定している。
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Causes of Carryover |
今年度は、遺伝子解析にまで至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の遺伝子解析、腫瘍幹細胞マーカーの免疫染色に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)