2015 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頸部腺癌におけるHPV感染と遺伝子異常の検討-胃型形質との関係を含めて-
Project/Area Number |
25460411
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐野 孝昭 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90292581)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | HPV / 子宮頸部 / 腺癌 / 胃型腺癌 / TP53 / GNAS / STK11 / KRAS |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮頸癌のうち扁平上皮癌はほぼ100%HPVが関与している腫瘍である一方、腺癌はすべてがHPV関連で無く、HPVと無関係に発癌する症例が知られている。今回、ヒト子宮頸部腺癌89例を対象に、多数のHPV型が検出できるmultiplex PCR法にてHPV感染の有無と型判定を行った。結果、HPV感染は47例(53%)であり、うちHPV16型が27例(30%)、HPV 18型が20例(22%)であった。16,18型以外のHPV型は検出されなかった。HPV陰性例は42例(47%)であり、うち11例は胃型腺癌と呼ばれる特殊型であった。 つづけてHPV陰性例における遺伝子異常を解析するため、HPV陰性例中の20例で、次世代シーケンサーを用いての遺伝子解析を行った。これまで、子宮頸部腺癌で報告されている癌遺伝子(KRAS、GNAS、EGFR、STK11、TP53)をQIAGEN社のCancerPanel GeneReadシステムを用いて解析した。この20例には7例の胃型腺癌が含まれている。結果20例中4例はDNAの劣化が強く、解析が困難であった。16例中いずれの遺伝子異常も認めなかった症例が6例であった。結果、5例がTP53の変異、STK11の変異とGNAS変異がそれぞれ2例ずつ、KRAS変異を1例認めた。胃型腺癌7例に限ると、TP53,STK11, GNASの変異がそれぞれ1例ずつ認められ、残り4例はいずれの変異も認められなかった。一部症例での解析であるが、HPV陰性腺癌は遺伝子異常の観点からみると、種々の遺伝子異常によっておこる、ヘテロな集団と考えられ、特定の遺伝子異常を有していないものと考えられる。また、胃型腺癌という組織型に限局しても、この傾向は同じであった。HPV陰性の子宮頸部腺癌は、消化器の発癌と共通する種々の遺伝子異常によって起こることが明らかとなった。
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