2014 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌ホルモン療法抵抗性におけるグルココルチコイド受容体の関与
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25460426
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
桑田 健 独立行政法人国立がん研究センター, 東病院, 副科長 (00327321)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / アンドロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
アンドロゲン感受性前立腺癌細胞株LNCapの除睾マウスへの移植系を用いて、前立腺癌に対する内分泌療法への抵抗性獲得の分子機構について検討した。 昨年度の検討では、グルココルチコイド受容体を恒常的に発現させたLNCap(LNCap-GR)は除睾マウスへの生着率がコントロールに比べて上昇したが、その腫瘍増殖速度はコントロールを非除睾マウスに比べて緩徐であった。このため、本年度は前年度の実験結果の再現性を確認するとともに、LNCapを非除睾マウスに移植・生着させた後に除睾術を実施し、生着腫瘍の縮小率による検討をあわせて行った。 その結果、非除睾マウスにおけるLNCap-GRの増殖速度はコントロールと同様(有意差なし)であった。一方、除睾マウスにおけるLNCap-GRの増殖速度は非除睾マウスでのものにくらべ減少していた。これは昨年度の実験結果と同様であり、GRの発現が前立腺癌に対する内分泌療法への抵抗性に関与している可能性が示された。一方で、GRの恒常的発現でも増殖速度が完全には回復させられなかったことから、腫瘍細胞の増殖速度には生着とはことなる他の因子が関与している可能性が示唆された。 一方、LNCapを非除睾マウスに移植・生着させた後に除睾術を実施する検討では、コントロールに比べ除睾後の腫瘍体積の減少率が低い傾向が見られたが、コントロールにおいても除睾後一過性に腫瘍体積が減少した後に再増殖をきたし、特に除睾術時の腫瘍体積が大きなものでこの傾向はより顕著であった。よって、移植腫瘍が比較的小さい(200mm^3)段階で除睾術を実施する必要があると考えられた。また、腫瘍体積の増大とともに、腫瘍のheterogeneityや間質との相互作用により内分泌療法への耐性を獲得する可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞株を用いた検討はおおむね順調に実施できているが、ヒト前立腺癌組織を用いた検討がやや遅れている。これは内分泌治療前後での形質の変化をペア病理組織標本で検討する予定であったが、利用可能な治療前の病理組織標本が当初の予定よりも少なかったことによるものである。今後、対象症例の再抽出を行い検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの前立腺癌細胞株を用いた検討をもとに、実際のヒト前立腺癌病理組織標本を用いて、グルココルチコイド受容体の発現と内分泌療法への治療感受性・耐性までの期間に相関がみられるかどうかを検討する。また治療前後でのグルココルチコイド受容体発現状態およびアンドロゲン受容体標的遺伝子発現状態の変化についてもあわせて検討する。
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Research Products
(1 results)