2014 Fiscal Year Research-status Report
性腺の分化・形成異常と悪性腫瘍の多段階的発症機構の分子病理学的解明
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25460427
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Children's Medical Center (Department of Clinical Research) |
Principal Investigator |
福澤 龍二 東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), なし, 副参事 (40245543)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 混合性性性腺形成異常 / 胚細胞腫瘍 / 胎児性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 胚細胞腫瘍を発症するメカニズムを検索するために、混合性性性腺形成異常の症例の性腺を分子病理学的に検索した。FISH 法により同定した性染色体のモザイク (45X/46XY)細胞のうち、45X細胞を画像解析ソフトと性染色体 (SRY) ,性腺の分化マーカー (SOX9, FOXL2)を合わせた三重蛍光染色法により同定出来る方法を開発し発表した(海外雑誌Medicine)。この結果をもとに、胚細胞腫瘍の前駆病変である性腺芽腫の形成には、45X細胞の関与はほとんどなく、46XYの細胞の卵胞上皮細胞への分化(性の逆転現象)が起こることが、腫瘍発症の基盤となることを併せて発表した。 2) 精巣と卵巣が混じる組織として知られている真性半陰陽の性腺組織において、FISH 法を行い46XXと46XY細胞の分布を調べた。驚くべきことに、卵巣上皮の中に46XY細胞、精巣のセルトリ細胞の中に46XX細胞(性の逆転現象)を認めた。性腺の分化マーカー (SOX9, FOXL2)を用いて、精巣と卵巣上皮細胞の分化のリネージを確かめたところ、卵巣上皮内の46XY細胞は、卵巣上皮のマーカーFOXL2を発現し、精巣のセルトリ細胞内の46XX細胞は、精巣上皮のマーカーSOX9を発現していた。このことは、性腺組織の運命は、性染色体によって決定されるのではなく、環境因子の影響を受けることを示唆した。この結果は、現在論文にして投稿準備中である。 3) 胎児性腫瘍49例のCGH解析と発現プロファイル解析を行った。腫瘍の進展に関与すると思われる共通した欠失領域を同定した。また、胎生期の器官形成のプログラムを発現プロファイルのデータの中から解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を海外雑誌に一昨年度,昨年度と発表することできた。さらに研究成果をまとめており、近日中に論文の投稿を目指す。また、胎児性腫瘍のCGHおよび発現プロファイル解析で予想以上に興味深い結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
性腺の形成異常 (Ovotesticular disorders of Sexual development)に関する論文と胎児性腫瘍の発生のプログラムに関する論文を仕上げる。このために、適切な精巣および卵巣の分化マーカーを文献や発現プロファイルの公共データなどから同定する。
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Causes of Carryover |
順調に論文が採択されてきているので、論文掲載費として、一部費用を次年度に先送りした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文掲載費2報を予定している。カラー写真があるので、数十万円の経費が必要である。
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