2014 Fiscal Year Research-status Report
高齢者胃癌の組織学的多様性と対応する遺伝子変化の関連解析
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25460428
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
新井 富生 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (20232019)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胃癌 / 高齢者 / ミスマッチ修復遺伝子 / マイクロサテライト不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃癌において加齢とともにマイクロサテライト不安定性を示す癌の比率が増加すること,組織型として充実型低分化腺癌が最もマイクロサテライト不安定性の比率(43%)が高いことを明らかにした.平成26年度は,マイクロサテライト不安定性が高率にみられる充実型低分化腺癌の臨床病理学的特徴を明らかにするために以下のような実験をおこなった. 高齢者に発生した未分化型進行胃癌78例(充実型低分化腺癌31例,非充実型低分化腺癌22例,印環細胞癌25例;男性42例,女性36例,年齢分布58~99歳,中央値77歳)を対象とした.通常の臨床病理学的事項に加え,ミスマッチ修復系蛋白質発現,粘液形質,p53発現を免疫組織学的に,マクロサテライト不安定性,KRAS変異,BRAF変異を分子病理学的に検討した.また,特殊な充実型低分化腺癌であるEpstein-Barr ウイルス(EBV)関連胃癌との異同を検討するために,EBV感染についてin situ hybridization法で検討した. 充実型低分化腺癌ではマイクロサテライト不安定性が52%,MLH1蛋白質発現減弱が58%に認められ,非充実型低分化腺癌・印環細胞癌と比較し有意に高率であった(p < 0.0001).EBV感染は充実型低分化腺癌の2例に認められるのみであった.KRAS変異は11例,BRAF変異は3例にみられたが,組織型との関連性は認められなかった.マイクロサテライト不安定性を示す充実型低分化腺癌は,高齢,女性,幽門部発生,MLH1蛋白質発現減弱,p53陰性との関連が認められた.また,マイクロサテライト不安定性示す充実型低分化腺癌は粘膜内または辺縁部に分化型成分を併存する率が有意に高かった(p = 0.02). 以上の結果より,充実型低分化腺癌は腺腔形成に乏しいという点で非充実型低分化腺癌,印環細胞癌と類似しているが,臨床病理学的,分子病理学的観点からは異なる腫瘍と考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた症例数の解析を終了し,充実型低分化腺癌の臨床病理学的特徴については研究成果を学会発表し,論文作成中である.さらに,充実型低分化腺に関する分子病理学的研究を進める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
充実型低分化腺癌の次にマイクロサテライト不安定性が高率にみられた乳頭腺癌についても検討を加える.さらに,早期癌症例を用いて,マイクロサテライト不安定性を示す症例の初期像を検討する.
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Causes of Carryover |
平成25年度に病院・研究所が移転し,一時期実験が滞る事態が生じたが,新施設に移転してから研究環境が整い,研究は順調に進んでいる.移転直後に買い揃えた試薬に余裕があったために,平成26年度には試薬などの購入にかける費用が抑制された.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度からは実験補助職員を雇用し,さらに積極的に解析を進めていく予定である.
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Remarks |
Research Team for Geriatric Pathology http://www.ttaggg-rtgp.org/
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Research Products
(6 results)