2015 Fiscal Year Annual Research Report
EGFRを標的とした難治性癌の免疫分子標的治療への融合に向けた基盤研究
Project/Area Number |
25460430
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小林 博也 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90280867)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
HERファミリーの一つで、EGFR875-889に高い相同性を有するHER3 872-886から腫瘍反応性ヘルパーT細胞を誘導した。また、EGFR875-889に相同性を有するc-Metペプチドからも、有効なヘルパーT細胞を惹起することが可能であった。 (1)c-MetおよびそのリガンドであるHGFは、鼻性NK/T細胞リンパ腫組織および、その細胞株に発現しており、c-Met TKIの添加でその増殖が抑制された。EGFR875-889に高い相同性を有するc-Met1244-1258ペプチドは、promiscuous(HLA-DR9,-DR12,-DR53)に反応するヘルパーT細胞を惹起し、c-Metを発現するリンパ腫細胞株を認識し、傷害した。 (2)c-Met TKIはリンパ腫細胞の増殖を抑制し、更にTGF-βの産生を抑制することで、ヘルパーΤ細胞の腫瘍への反応性を増強した。 (3)抗原提示細胞内のオートファジーが、c-Met特異的ヘルパーT細胞の抗原認識に影響を及ぼすか検討したところ、オートファジー阻害薬(3-MA,17-DMAG)で処理された腫瘍に対する反応性は減弱し、逆にオートファジー亢進薬バルプロ酸処理によって反応性は増強した。 (4)HER3 872-886特異的ヘルパーT細胞は、HER3を発現する頭頸部扁平上皮癌細胞株を認識し、これらを傷害した。さらにpan-HER ファミリーTKI(Dacomitinib)は、腫瘍細胞のHLAクラスⅡ分子の発現を上昇させることで、HER3 特異的ヘルパーT細胞の反応性を有意に増強することを可能にした。これらの結果は、c-Met TKI、オートファジー亢進薬ならびにdacomitinib等の分子標的薬の併用が、癌免疫治療のアジュバントとして有効であることを示すものである。
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