2015 Fiscal Year Research-status Report
肺腺癌におけるCADM1過剰発現による悪性形質獲得機構の解明
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25460432
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
松原 大祐 自治医科大学, 医学部, 准教授 (80415554)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | CADM1 / RAPGE2 / EMT |
Outline of Annual Research Achievements |
CADM1は肺腺癌の重要な腫瘍抑制遺伝子であり、EMTを抑制し、上皮内腺癌では発現が保たれ、浸潤癌では発現は失われる。肺腺癌40株のマイクロアレイのデータをもとに、CADM1遺伝子発現を比較したところ、40株中31株でCADM1の発現はほぼなかったが、意外なことに、CADM1の過剰発現は、「気管支上皮型」(9%(2/22))よりも、EMT形質を有する「非気管支上皮型」(39%(7/18))で高頻度にみられた。細胞株として樹立されるような高悪性度な肺腺癌でCADM1発現を保っている原因を追求した。肺腺癌細胞株40株のマイクロアレイのデータをもとに、CADM1発現と相関性の高い遺伝子を検討した結果、RAS-associated protein (RAP)のグアニン・ヌクレオチド交換因子(GEF)であるRAPGEF2がCADM1陽性肺腺癌細胞株で高発現していることが分かった。肺腺癌細胞株H1838を用いて、SiRNAによるCADM1, RAPGEF2のノックダウン、RAP1活性アッセイ、Transwell migration assayを行った。RAPGEF2のノックダウンによって、RAP1の活性は抑制され、かつ、細胞株のMigrationが抑制されるが、RAPGEF2とCADM1を同時にノックアウトすると、RAP1の活性と細胞株のMigrationが回復することがわかった。以上のことから、CADM1はRAP1を抑制することで腫瘍抑制的に働くのに対し、RAPGEF2はCADM1によるRAP1抑制能を抑制することが考えられた。原発性肺腺癌症例133例のCADM1、RAPGEF2の染色を行ったところ、CADM1陰性症例ではRAPGEF2の発現の有無は予後に差がないが、CADM1陽性例ではRAPGEF2の発現が低いと予後不良であり、細胞株の結果と矛盾しない結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Adult T-cell leukemiaにおいて、CADM1とTIAM1(RACのGef)との結合により悪性形質を獲得することが報告されている。同様に、ある種の高悪性度の肺腺癌では、CADM1は、RAPGEF2と結合することで、CADM1そのものが、Maiglnant progressionを促すのではないか、との仮説ではじめた研究であったが、実際には、細胞株を使ったSiRNAによるノックダウン実験では、CADM1は腫瘍抑制的に働くことが示され、その点は予測とは異なるものであった。しかしながら、CADM1がRAP1活性を抑制すること、さらに、RAPGEF2がCADM1によるRAP1活性抑制を抑えることなど、新たな知見も得られ、原発性肺腺癌の免疫染色の結果も、矛盾しない結果であり、おおむね順調に進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
肺癌において、CADM1が腫瘍抑制的に働く詳細な機序については、十分に解明されているとは言い難い。CADM1がRAP1の活性を抑制することでMigrationを抑制する、というのは新たな知見であるが、さらに、RAPGEF2、CADM1陰性の肺腺癌細胞株を用いて、RAPGEF2,CADM1の遺伝子導入実験を行い、RAPGE2,CADM1,RAPの役割について検討していく。また、現在、CADM1がContact inhibitionを担うシグナル伝達系であるHippo pathwayを介して、腫瘍抑制に働く可能性について検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
細胞株の購入などを検討していたが、東京大学医科学研究所から自治医大に異動となったため、細胞株を用いた研究の開始が遅延したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
肺癌細胞株(小細胞癌、腺癌)を購入予定である。また、これまで、CADM1、RAPGEF2のノックダウンを行っているが、CADM1,RAPGEF2の遺伝子導入実験なども行う予定であり、そのための試薬を購入する予定である。H27年度の研究計画がH28年度にずれ込むが、迅速に研究を展開することで当初目標を達成できる。また、現時点での研究内容をまとめてCancer Science誌に投稿予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] The role of HGF/MET and FGF/FGFR in fibroblast-derived growth stimulation and lapatinib-resistance of esophageal squamous cell carcinoma.2015
Author(s)
Saito S, Morishima K, Ui T, Hoshino H, Matsubara D, Ishikawa S, Aburatani H, Fukayama M, Hosoya Y, Sata N, Lefor AK, Yasuda Y, Niki T.
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Journal Title
BMC Cancer
Volume: 15
Pages: 1-12
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Loss of YAP1 defines neuroendocrine differentiation of lung tumor.2015
Author(s)
Matsubara D, Ito T, Tanaka I, Makiya K, Kumagai Y, Sue J, Shumpei I, Isagawa T, Morikawa T, Ushiku A, Goto Y, Nakano T, Tsuchiya T, Aburatani H, Dobashi Y, Nakajima J, Endo S, Fukayama M, Sekido Y, Niki T, and Murakami Y
Organizer
74th Annual Meeting of the Japanese Cancer Association
Place of Presentation
Nagoya Congress Center (Nagoya)
Year and Date
2015-10-08 – 2015-10-10
Int'l Joint Research
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