2015 Fiscal Year Annual Research Report
HS-dPCR法を用いた肺腺癌遺伝子異常の迅速解析
Project/Area Number |
25460434
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉澤 明彦 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80378645)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肺癌 / 上皮成長因子受容体(EGFR) / 高速PCR法 / 高感度PCR法 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景・目的】非小細胞肺癌に対する上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異検査は,EGFRチロシンキナーゼ阻害薬投与の適応を決定する際に不可欠である。同検査を行う場合,現在は肺生検や肺手術材料などのホルマリン固定パラフィン包埋材料を用い,PCR法にて行うことが一般的であるが,遺伝子抽出から検索まで7-14日の期間を要している。本検討は,迅速遺伝子検査法の一つとして開発された液滴型高速PCR装置(EGFR d-PCR法)を用い,ホルマリン固定を必要としない気管支洗浄液や胸水などの液状細胞診材料で,EGFR遺伝子変異の検出の可否,またその妥当性につき検証した。 【方法】対象検体は気管支洗浄液や胸水などの液状細胞診材料,全80例で,対象検査系として既存のリアルタイムPCR法(Therascreen法)を用い,EGFR d-PCR法との感度,特異度,反応時間の比較を行った。また,EGFR d-PCR法の検出限界は培養細胞を用い検証した。 【結果】全80検体のうち,Therascreen法でEGFR遺伝子変異が検出された症例は,L858R変異が16例,exon19欠失が11例,T790M変異が1例であった。それに対してd-PCR法では,L858R変異は16例,exon19欠失(E746_A750)は8例,T790M変異が1患者であった。exon19変異検出系では,Therascreen法で検出されてEGFR d-PCR法で検出されなかったものが3検体存在したが,これらはダイレクトシークエンス法で,今回我々が設計したプライマーとは異なる変異であることが判明した。PCR反応時間は,Therascreen法の1時間45分に対し,EGFR d-PCRは8分10秒であった。変異の検出限界は,L858R検出系で0.5%,E746_A750del検出系で0.05%, T790M検出系で0.5%であった。 【考察】EGFR d-PCR法では,従来法と高い一致率を示し,検出感度は従来法以上の感度が得られた。本法では,DNA抽出過程を含め1時間以内で判定結果を得ることができ,今後の臨床応用が期待される結果であった。
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