2014 Fiscal Year Research-status Report
成人T細胞白血病・リンパ腫におけるエピジェネテイック異常と発症・進展機構の解析
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25460437
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡 剛史 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50160651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 佐智夫 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30335624)
大内田 守 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80213635)
吉野 正 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70183704)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ATLL / エピジェネテイックス / HTLV-1 / DNAメチル化 / 悪性リンパ腫 / ヒストン修飾 / ポリコーム遺伝子群 / クロマチン構造変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)の発症機構についてDNAメチル化状態、miRNA,ヒストン修飾状態、ポリコーム遺伝子群、クロマチン構造変換関連遺伝子群の発現等エピジェネテイック異常の観点から患者検体、培養細胞を用いて解析した。その結果ヒストン修飾状態、ポリコーム遺伝子群について広範な悪性リンパ腫・白血病の患者検体を用い解析し,non-Hodgikinリンパ腫に於ける発現異常プロファイルを明らかにした。更に培養細胞を用いた解析からEzh2,Ezh1, Eed, Suz12,Bmi1をはじめとするポリコーム遺伝子群の発現異常を解析し,反応性リンパ節及び正常末梢血単核球に於いてPRC1.4がPRC1.2とほぼ同等にバランスを保ち発現調節されているのに対しATLをはじめ各種の悪性リンパ腫に於いてPRC1.4の発現はPRC1.2の発現に対し大きな偏りが生じていることが明らかとなった。 HTLV-Iウイルス遺伝子発現のON/OFFがコントロールできる実験系において生きた細胞のDNAメチル化レベルを定量的に計測するシステムの開発を試み成功した。FACSを用いた細胞周期解析方法の応用により細胞周期変動に応じたDNAメチル化レベルの変動を検出した。さらにウイルス遺伝子発現ONとOFFの状況になった細胞の DNAメチル化レベルの変動パターンとウイルス遺伝子発現を比較した結果global methylationのパターンが大きく変化することが明らかとなった。更にウイルス遺伝子発現ONのあとに誘導されるglobal methylationのパターンの変化には細胞間に個性があることが明らかとなった。このことはウイルス感染とそれに伴うウイルス癌遺伝子の発現はEpigeneticな多様性を誘導することが明らかとなり,疾患の発症・進展に重要な役割をしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的に従いヒストン修飾状態、ポリコーム遺伝子群について広範な悪性リンパ腫・白血病の患者検体を用い解析し,non-Hodgikinリンパ腫に於ける発現異常プロファイルを明らかにした。更に培養細胞を用いた解析からEzh2,Ezh1, Eed, Suz12,Bmi1をはじめとするポリコーム遺伝子群の発現異常を解析し,反応性リンパ節及び正常末梢血単核球に於いてPRC1.4がPRC1.2とほぼ同等にバランスを保ち発現調節されているのに対しATLをはじめ各種の悪性リンパ腫に於いてPRC1.4の発現はPRC1.2の発現に対し大きな偏りが生じていることが明らかとなった。 またHTLV-Iウイルス遺伝子発現のON/OFFがコントロールできる実験系において生きた細胞のDNAメチル化レベルを定量的に計測するシステムの開発を試み成功した。FACSを用いた細胞周期解析方法の応用により細胞周期変動に応じたDNAメチル化レベルの変動を検出した。さらにウイルス遺伝子発現ONとOFFの状況になった細胞の DNAメチル化レベルの変動パターンとウイルス遺伝子発現を比較した結果global methylationのパターンが大きく変化することが明らかとなった。更に詳細な解析を進めつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
ATLLの培養細胞を用いHTLV-I感染不死化細胞(キャリアー状態に相当する)、ATLL前白血病細胞とATLL白血病細胞の違いついて特にDNAメチル化、miRNAなどエピジェネテイックな観点から解析する。マイクロアレイによる特定のターゲットのDNAメチル化と腫瘍化との関連、どのような条件でCIMP(+)となりmalignant transformationをするのか解析する。 臨床検体及び培養細胞を用いてエピジェネテイックな解析、ジェネテイックな解析、免疫染色による解析、Western blot解析、Flow Cytometry(FACS)解析等を組み合わせ、各病型の悪性リンパ腫におけるポリコーム遺伝子群,クロマチン・リモデリング蛋白発現異常と病態進展に関与・果たす役割について臨床病態のパラメータの変化との相関などの統計解析、臨床病理学的解析を詳細におこなう。 またウイルス遺伝子発現ONの状況になった細胞の DNAメチル化レベルの変動パターンの経時的変化を追跡し、異常DNAメチル化がおこるのに必要とされる時間依存性を検討する。ウイルス遺伝子発現ONまたはOFFの時点で、5AzadCRなどDNA脱メチル化剤処理がこのような過程にどのような変動を及ぼすか,薬剤濃度・処理時間等の条件を変えて検討する。FACS解析で見える細胞全体でのグローバルDNAメチル化レベルの変化解析と平行して共焦点レーザー顕微鏡によるメチル化DNAの時間・空間分布と比較・検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた物品が予想より安く購入できたため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度未使用額と次年度使用額をあわせた額で分子生物学的解析用の試薬等の購入を行い研究に用いる予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Merkel cell polyomavirus DNA sequences in peripheral blood and tissues from patients with Langerhans cell histiocytosis.2014
Author(s)
Murakami I, Matsushita M, Iwasaki T, Kuwamoto S, Kato M, Horie Y, Hayashi K, Imamura T, Morimoto A, Imashuku S, Gogusev J, Jaubert F, Takata K, Oka T, Yoshino T.
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Journal Title
Hum Pathol
Volume: 45(1)
Pages: 119-26
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] High viral load of Merkel cell polyomavirus DNA sequences in Langerhans cell sarcoma tissues2014
Author(s)
Ichiro Murakami1*, Michiko Matsushita2, Takeshi Iwasaki1, Satoshi Kuwamoto1, Masako Kato1, Yasushi Horie3, Kazuhiko Hayashi1, Jean Gogusev4, Francis Jaubert5, Shu Nakamoto6, Mitsunori Yamakawa7, Hirokazu Nakamine8, Katsuyoshi Takata9, Takashi Oka9 and Tadashi Yoshino9
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Journal Title
Infectious Agents and Cancer
Volume: 9
Pages: 15-18
DOI
Peer Reviewed
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