2015 Fiscal Year Research-status Report
DNAコピー数異常からアプローチするトリプルネガティブ乳癌の新規治療法の研究
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25460458
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
近藤 智子 (古屋智子) 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30379979)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 乳癌 / トリプルネガティブ / 細胞周期 / イメージサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌のなかでも特異的に有効な治療が確立されていないトリプルネガティブ乳癌(TNBC)について、臨床検体で特異的なゲノムコピー数減少が確認された14q15領域にコードされている物質AがTNBCに与える影響について、TNBC由来の培養細胞を用いて検討している。 27年度はTNBC由来培養細胞および非TNBC乳癌由来培養細胞を用いて、物質Aが細胞増殖に与える影響を、細胞周期解析および細胞周期関連タンパクや細胞死関連タンパク、シグナル伝達関連タンパクの発現パターンを用いて検討した。26年度までに同じTNBCでも細胞株によってタンパク発現のパターンが異なることは明らかにしていたが、違いが生じるメカニズムについては27年度も明らかにすることができず、28年度も引き続き検討を行う予定である。 一方、非TNBC乳癌由来培養細胞のほとんどは物質Aによる細胞周期や各種タンパクの発現パターンの変化は見られなかったが、1種類のみ細胞増殖抑制が起こり、タンパク発現パターンも異なっている傾向がみられた。このことより物質AはTNBC以外の腫瘍細胞にも細胞増殖抑制効果があることが示唆された。この培養細胞株の結果はまだ暫定的なものであり、28年度引き続き検討を行うと同時に、将来的な臨床応用を視野に入れるならば物質Aにより細胞増殖に影響を受ける細胞を検出できるマーカーを決定につながる検討もしなければならないと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
27年度も前年度までに検討していない細胞株について細胞増殖抑制効果の有無について検討すると同時に細胞増殖抑制のメカニズムが細胞種によって異なる可能性が考えられたため、発現パターンの検討を行うタンパクの種類を増やすなどしたことは予定通りであった。しかしメカニズムの解明には至っておらず、その点で単年度としても進捗はやや遅れており、前年度の機器不具合による遅延も解消に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
物質Aによる細胞増殖抑制のメカニズムを明らかにすることが最も優先される課題である。それと同時に非TNBC由来の培養細胞でも同様に細胞増殖が抑制されたことより、物質Aによる細胞増殖抑制が期待される細胞種を検出するマーカーの探索も行っていく。
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Causes of Carryover |
26年度途中に培養細胞関係機器の故障のため、50日程度実験を行うことができなかったこと、非TNBC癌でも細胞増殖が抑制されるという予想していなかった結果を踏まえて、実験方法等を再検討する必要があったため、研究全体の進捗が遅れることとなり次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度中に実験方法等の再検討は終えているので、それにしたがった形で速やかに消耗品を購入、必要に応じて実験補助員を雇用する。同時に成果発表のための論文校正や学会発表の費用に充てる予定である。
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