2015 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫の抗チューブリン薬に対する自然耐性機構の克服研究
Project/Area Number |
25460462
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
安平 進士 岩手医科大学, 医学部, 助教 (90311729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 俊英 岩手医科大学, 医学部, 教授 (30137525)
杉山 徹 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40162903)
前沢 千早 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10326647)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子病理診断学 / 細胞分裂 / 悪性黒色腫 / 分裂攪乱 / アポトーシス / 分裂期崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
・易アポトーシス性HeLa親株と、前年度までに作成した難アポトーシス性HeLa株を用い、パクリタキセル誘導細胞死の機構について引き続き解析した。難アポトーシス性株については複数のクローンを解析し、再現性を確認した。 ・いずれの株でも90%以上の細胞は、親株においてもアポトーシスが起きない低濃度のパクリタキセルで増殖能を消失する。この観察は両者の間でパクリタキセル処理後のコロニー形成能の差がほとんどなかった事実を部分的に説明する。 ・いずれの株でも低濃度パクリタキセル処理では多極分裂が顕著である。処理中および処理後増殖能を維持した生存細胞のDNA含量をフローサイトメトリーで解析したところ、処理中に高頻度で存在する異常なDNA含量の細胞(多極分裂に由来すると考えられる)は処理後の培養によってほぼ完全に消失することがわかった。 ・難アポトーシス株の低濃度パクリタキセル+キネシン5阻害剤の処理では、分裂スリッページが顕著である。DNA含量をフローサイトメトリーで解析したところ、処理中に高頻度で存在する倍数性細胞は処理後の培養によってほぼ完全に消失することがわかった。したがって、急性アポトーシスが抑制されて分裂スリッページを起こしても生存することはほとんどない。 ・細胞の形態的な観察の結果、難アポトーシス株は分裂スリッページ後、MOMPを伴わない遅延性のアポトーシスを起こしている可能性がある。 ・以上より、少なくとも急性アポトーシスの阻害はパクリタキセルの耐性機構とならないこと、多極分裂や分裂スリページによって生じた異数性、倍数性細胞を除去する機構が存在すること、またこのうち倍数性細胞除去機構については遅延性のアポトーシスが関与している可能性が示された。
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