2013 Fiscal Year Research-status Report
肺癌におけるlong noncoding RNAの発現解析
Project/Area Number |
25460469
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
飯塚 利彦 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (80323707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 雄一 公益財団法人がん研究会, その他部局等, その他 (80222975)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | long noncoding RNA / 肺癌 |
Research Abstract |
長鎖noncoding RNAは、タンパク質をコードしないRNAのうち200bp以上の長さを有するもののことを指す。長鎖noncoding RNAの機能は大部分ではその機能が不明であるが、近年その機能の解明が進んでいるものもあり、MALAT-1やHOTAIR等では、発癌に重要な役割を果たしていることが報告されてきている。我々は長鎖noncoding RNAが肺癌の発癌に重要な役割を有していると考えており、肺癌の診断、治療に応用できる可能性を考えて研究を行っている。 肺腺癌手術例83例における長鎖noncoding RNA MALAT-1の発現をRT-PCRで測定し、種々の臨床病理学的因子との関連を検討したところ、MALAT-1の発現は、KRAS変異陰性例では陽性例に比べて有意に高発現であることがわかった。そこでKRASシグナルによりMALAT-1の発現が制御されている可能性を考え、KRAS変異陽性肺癌細胞株A549を用いてsiRNAによるKRASノックダウンを行ったところ、ノックダウンによりMALAT-1の発現は有意に上昇することが分かった。以上の結果は、KRASシグナルによりMALAT-1の発現が制御されている可能性を示唆している。 また別の長鎖noncoding RNAであるHOTAIRの発現と予後の関連をstageI肺腺癌54例で調べたところ、HOTAIR高発現例では有意に予後が悪いことが分かった。またHOTAIRと結合するポリコームタンパク質のひとつであるEZH2の発現と予後の関連も同様であった。免疫染色によりEZH2の発現と肺腺癌の組織像との関連を検討したところ、EZH2の発現は中分化から低分化の部分で発現が強く、EZH2の発現は組織形態と関連していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子変異、特にKRAS変異と長鎖noncoding RNAとの関連について、予後等、他の臨床病理学的因子も含めて解析したいと考えて研究を行っている。我が国の肺腺癌ではKRAS変異の頻度が低く、用いる症例のデータベースを再構築中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究に用いる症例のデータベースを再構築する。データベースには、KRAS, EGFR等の遺伝子変異の有無、予後等の臨床病理学的因子も含める。そのデータベースを用い、HOTAIR, MALAT-1等の解析を行い、更にmicroarrayを用いて長鎖noncoding RNAの発現と臨床病理学的因子の関連について網羅的に解析したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
KRAS変異と長鎖noncoding RNAの発現との関連について検討を進めたいと考えている。日本において、肺腺癌でkRAS変異の頻度は10%程度と低く、我々の検討症例でも10例含まれているのみであった。そのため検討対象症例を増やして新たにデータベースを作成中である。 症例データベースを作製後、MALAT-1等の長鎖long noncoding RNAの発現と、KRAS変異との関連について、更に検討を進めたいと考えている。また更に今年度および来年度、遺伝子変異と長鎖noncoding RNAとの関連についてmicroarrayを用いて網羅的な解析を進めたいと考えている。
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