2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞増殖、分化、がん化におけるTsc-22ファミリータンパク質の役割
Project/Area Number |
25460472
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 裕之 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70375509)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | THG-1 / Tsc-22 family / がん / 扁平上皮 / 細胞増殖 / 転移 |
Research Abstract |
正常扁平上皮を構成する細胞は常に更新され、絶妙なバランスで一定の細胞数を維持することで恒常性が保たれている。構成細胞は基底部に存在する幹細胞が非対称分裂を行うことで供給され、表皮に移動するに伴い増殖を止めて分化する。近年がんの発生には、その組織幹細胞に変異が蓄積することで、がん幹細胞が発生することが重要であると考えられている。しかしどのようなメカニズムで、がん幹細胞の発生、がんの発症、及び悪性化へ導かれるのかについては不明である。申請者はTsc-22ファミリータンパク質の一つであるTHG-1の機能を解析する過程で、THG-1が皮膚、食道などの重層扁平上皮の基底細胞に発現することを見出した。基底細胞には幹細胞が存在し、がん化と密接に関わることから、食道、肺、子宮頸部扁平上皮がんの組織アレイを用いてTHG-1の発現について検討したところ、扁平上皮がんの約8割にTHG-1が高発現することを見出した。そこで皮膚角化細胞株にTHG-1を発現させたところ、EGFによる増殖、運動性の亢進、及びがん細胞様の形態変化が認められた。次に食道がん細胞でTHG-1をノックダウンすると、がん細胞の増殖能、腫瘍形成能が低下することを見出した。またTHG-1はEGF-Ras-ERK経路によってリン酸化され、このリン酸化がRasによる腫瘍形成の促進に必須であることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度の計画である、①-④について有望な結果が得られた。 ① 細胞増殖、運動、分化、腫瘍形成におけるTHG-1とそのリン酸化の役割を明らかにすることができた。 ② THG-1ノックアウトマウスの解析:ノックアウトマウスを得ることができ、現在解析中である。 ③ THG-1のリン酸化、変異型特異的抗体の作製 については有用な抗リン酸化THG-1抗体を得た。 ④ THG-1の新規結合タンパク、下流シグナルの探索 については有望なタンパクについて解析を進め、論文投稿にまで至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はノックアウトマウスの解析を進め、生理的な役割について明らかにする。 さらにTHG-1の結合タンパク質として同定された数種類のタンパク質について、その役割を解析する。
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Research Products
(7 results)