2015 Fiscal Year Annual Research Report
キメラがんタンパクTLSーCHOPによる多段階発がん機構の解明とその臨床応用
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25460480
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
及川 恒輔 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70348803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村垣 泰光 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40190904)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キメラ遺伝子 / 発がん機構 / 粘液型脂肪肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体転座に起因するキメラタンパクTLS-CHOPは、粘液型脂肪肉腫の大多数で見られ、腫瘍特異的な転写因子として腫瘍発生や腫瘍増殖に関与すると考えられているが、その分子機能の詳細は不明である。これまでの研究により、TLS-CHOPが、腫瘍化活性を持つDOL54と腫瘍の増殖・転移を促進するPAI-1の発現誘導、及び抗腫瘍活性を持つMDA-7の発現抑制に関与することが分かってきた。本研究では、上記のTLS-CHOP下流分子群の分子機能の詳細と、新規関連分子群の腫瘍関連機能の検討を行なった。 1. DOL54の発現誘導を介した腫瘍化促進メカニズムの解明 TLS-CHOPのノックダウンが粘液型脂肪肉腫の増殖を抑制することは既に報告済みだが(Br. J. Cancer 2012)、本研究期間では、DOL54のノックダウンでも粘液型脂肪肉腫細胞の増殖が抑制され、その際にMDA-7の発現が顕著に増加することを発見した。従って、TLS-CHOPがDOL54の発現誘導を介してMDA-7を抑制することで腫瘍細胞を維持することが示唆された。27年度は、この仮説を実験的に確定した(投稿準備中)。一方、複数の分子群が、DOL54を発現誘導する分子経路中に介在する可能性が示唆されていたが、これらについてはまだ確定的なデータが出ておらず、引き続き検討中である。また、PAI-1の発現誘導経路とDOL54•MDA-7の分子経路との相互作用に関しても、予備実験でその関連性を示唆する結果が散見されたものの、まだ詳細は不明で、さらに検討を進めている。 2. 新規関連分子群のノックダウンや過剰発現による腫瘍抑制効果の検討 上記の分子とは別に、TLS-CHOPの影響で発現変動する分子群を特定し、その中から粘液型脂肪肉腫の増殖や転移に関与するものを同定した。27年度からは、その分子群の機能の解析を開始し、現在も継続中である。
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