2013 Fiscal Year Research-status Report
癌遺伝子YAP/TAZのタンパク質相互作用ネットワーク解析と腫瘍形成における役割
Project/Area Number |
25460482
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
村上 秀樹 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (90303619)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TAZ / 質量分析解析 / 類上皮血管内皮腫 |
Research Abstract |
YAP/TAZは様々な腫瘍で発現の増加、活性化が検出され腫瘍形成に関与すると考えられ、新たな癌治療の有力な分子標的として注目されている。YAP/TAZを制御する上流のシグナルカスケードに関与する分子は多数同定されてきているが、YAP/TAZを中心としたタンパク質相互作用ネットワークは十分に明らかにされていない。本研究ではYAP/TAZを中心とした広範なタンパク質ネットワークの解明を目指す。近年血管系腫瘍の一つである類上皮血管内皮腫においてTAZとCAMTA1遺伝子およびYAPとTFE3遺伝子の転座も報告され、これらの融合遺伝子が腫瘍形成に重要であることが示唆された。ヒトの様々な腫瘍組織のTissue arrayを用いた解析を行ったところ、TAZの発現は類上皮血管内皮腫において高頻度(8例中5例)に強い発現がみられた。CAMTA1の発現も上昇しており、いずれも核内に局在を示していた。FISHではTAZ(3q25)とCAMTA1(1p36)の転座が確認された。Flag-HAをtagしたTAZ/CAMTA1およびYAP/TFE3融合遺伝子を発現させるレンチウイルスベクターを作成し、発現を確認した。ヒト正常皮膚血管内皮細胞にTAZ/CAMTA1, TAZ, CAMTA1をウイルス感染により発現させ、tandem affinity精製によりそれぞれの分子と複合体を形成する蛋白の抽出を行った。TAZ/CAMTA1およびTAZ のaffinity精製により抽出された蛋白中にTEAD3/4などの転写因子が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血管内皮細胞はウイルスの感染効率が低く、高タイタ―のウイルスを得るのに時間を要し、質量分析による複合体の分子の同定に至っていない。質量分析解析に必要な精製蛋白量を得るための条件を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
TAZ/CAMTA1, TAZ, CAMTA1あるいはYAP/TFE3, YAP, TFE3を発現させた血管内皮細胞よりaffinity精製により各蛋白を抽出し質量分析により複合体を形成するタンパク質の同定を試みる。さらにiTRAQ(isobaric tag for relative and absolute quantitation)試薬により各試料をラベリングし、複合体を形成するタンパク質を比較定量し、融合蛋白とそれぞれの蛋白での複合体の違いを明らかにしていく。同定された結合蛋白の機能解析を行い、腫瘍での発現、腫瘍形成における役割を明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越金額が生じた理由としては質量分析解析に必要な試料を得るのに時間を要し、本格的に質量分析解析を行えなかった為である。 平成26年度の直接研究費は、平成26年度交付申請額140万円と平成25年度からの繰越額約672,524円を合わせると約2,072,524円である。平成26年度の使用計画は以下のとおりである。質量分析解析を中心に行っていく予定であり、必要な試薬、器具、iTRAQ試薬などに主に使用する。また生化学的解析および細胞培養に必要な試薬、消耗品の購入に使用する。また、本研究に関連する最新情報の収集を目的に国内学会等の参加費として旅費10万円を充当する予定である。
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Research Products
(1 results)