2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒトがん間質の抗腫瘍性免疫微小環境形成の分子機序に関する研究:EBI3の検討
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25460486
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
平岡 伸介 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (40276217)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膵がん / EBI3 |
Research Abstract |
がん間質の免疫微小環境はがんの生物学的特性と密接な関係にある。本研究ではがん間質におけるEBI3分子の機能とその機序の解析を通して、免疫微小環境形成機序に迫ることを目的とする。 平成25年度はEBI3分子の膵がん間質における特徴を検討した。EBI3分子に特異的に反応し、ホルマリン固定パラフィン包埋組織に対する免疫組織化学、ELISA、Westernブロットに使用可能なモノクローナル抗体を独自に樹立した。本抗体を用いた免疫組織化学により、当センターで1990-2002年に外科切除された約150症例の膵がん組織切片に対して、EBI3発現を同定し臨床病理学的に検討した。また当センターで2003-2005年、2006-2008年に外科切除された約120、150症例の膵がん新鮮凍結組織から全RNAを抽出し、EBI3遺伝子発現を定量的RT-PCR法により同定し臨床病理学的に検討した。以上3つの膵がんコホートを用いた検討において、膵がん組織中のEBI3遺伝子発現の高い症例群・EBI3発現細胞の多く浸潤している群がそうでない群に比して、有意に長い全生存、無病生存を示した。さらに、Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析により膵がん組織におけるEBI3遺伝子発現ならびにEBI3分子発現細胞数は独立した予後因子となった。膵がん組織でEBI3分子はがん細胞には通常発現しておらず、CD208陽性成熟骨髄性樹状細胞に強く、また一部のマクロファージに弱く発現していた。また膵がん間質におけるEBI3分子の特徴を捉えるため、EBI3分子の生化学的性状・抗腫瘍活性・免疫微小環境との関連性等について解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに特に実験上の障壁を見なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果を踏まえて、今後、膵がん間質におけるEBI3分子がいかにして抗腫瘍環境の形成に寄与するのかを検討する。EBI3分子の生物機能発現機序にもとづいて、dominant negative型EBI3分子を発現するトランスジェニックマウスを作成し、化学発がん系を用いて、EBI3分子の機能について腫瘍免疫の立場から検討する。
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