2013 Fiscal Year Research-status Report
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25460491
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上羽 悟史 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00447385)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 免疫 / 免疫不全 / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
移植片対宿主病 (GVHD)に伴う液性免疫不全機序の解明を目指す。申請者は最近マウス同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)モデルの解析から、GVHDが骨髄造血ニッチを障害することでリンパ球系の再構築を抑制すること、さらにリンパ球の再構築抑制とは独立して液性免疫不全を誘導すること、リンパ球再構築後も液性免疫不全が遷延するマウスでは、液性免疫誘導に中心的な役割を果たすリンパ節が重度かつ不可逆的に萎縮していることを見出した。本研究では、これまでGVHDの標的臓器として認識されていなかったリンパ節に着目し、マウスallo-HSCTモデルを用いて、GVHDによるリンパ節障害の詳細を免疫学的、組織学的、機能的に解明するとともに、病態形成の細胞・分子機序を解明し、移植後免疫不全の予防・治療法開発の基礎を築くことを目的とした。今年度は、液性免疫応答の誘導組織であるリンパ節、脾臓などの二次リンパ組織に着目し、B6→BDF1 allo-HSCTモデルを解析した。その結果、T細胞除去骨髄細胞(TCD BM)とともにCD8+T細胞を移入し、GVHDを誘導したマウスでは、移植後40日目の骨髄においてTCD BMのみを移植した対照群と同等のB細胞の回復を認めたが、リンパ節においては細胞数の著減による萎縮、さらには線維化を認めた。また、同マウスではNP-OVAを皮下免疫した後のNP特異的抗体産生が減弱していた。これらの結果より、allo-HSCT後にCD8+T細胞依存的にリンパ節が破壊されること(LN GVHD)で、液性免疫不全が遷延することが示唆された。今後、LN GVHDの発症機序の解明ならびに予防・治療法の開発により、allo-HSCT後の生存率向上が可能になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GVHDによるリンパ節障害の細胞機序について、リンパ球数の減少による重度の萎縮は、主にCD8 T細胞が原因であることを同定できた。また、リンパ節障害の標的となる宿主細胞についても、高内皮細静脈細胞ならびにT細胞領域を構成する細網線維細胞であることを病理学的解析から同定できた。このように重度なリンパ節障害を有するマウスでは、末梢に免疫担当細胞数が回復した後も適切な液性免疫応答を誘導することが出来ないことも見いだし、リンパ節障害がGVHD関連液性免疫不全の直接的な原因であることを明らかに出来た。これらの知見をさらに深化し、標的細胞の特異的障害に関わる分子メカニズムを明らかにすることで、GVHD関連液性免疫不全の予防・治療法の開発につながるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
リンパ節構成細胞の動態解析を行う。具体的にはB6→BDF1モデルを用いて、1) 移植後4,7,10, 14日目のリンパ節組織構成細胞(CD45-CD31+gp38+リンパ管内皮細胞、CD45-CD31+gp38-PNAd+高内皮細静脈細胞、CD45-CD31-gp38+細網線維細胞)について、フローサイトメトリーによる定量的解析と組織内分布解析をおこなう。また、各組織細胞種の機能に関わるケモカイン、接着因子、並びにMHC class I, IIやFasなどのドナーT細胞による認識・傷害の標的分子の発現を解析する。2) 血中リンパ球のリンパ節流入を媒介する高内皮細静脈に障害を認めた場合、コントロール群およびGVHD(+)群に、蛍光標識またはGFP発現リンパ球の養子移入を行い、リンパ節への短期ホーミング試験を行う。さらに、生体内顕微鏡を用いて高内皮細静脈におけるリンパ球のローリングおよび接着を解析することで、高内皮細静脈の機能的評価を行う。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Bone Marrow Graft-versus-Host Disease: Evaluation of Its Clinical Impact on Disrupted Hematopoiesis after Allogeneic Hematopoietic Stem Cell Transplantation2014
Author(s)
Souichi Shiratori, Mizuha Kosugi-Kanaya, Satoshi Ueha, Junichi Sugita1, Akio Shigematsu, Takeshi Kondo, Daigo Hashimoto, Katsuya Fujimoto, Tomoyuki Endo, Mitsufumi Nishio, Satoshi Hashino, Yoshihiro Matsuno, Kouji Matsushima, Junji Tanaka, Masahiro Imamura, Takanori Teshima
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Journal Title
Biol Blood Marrow Transplant
Volume: 20
Pages: 495-500
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Treg induction by a rationally selected mixture of Clostridia strains from the human microbiota2013
Author(s)
Koji Atarashi, Takeshi Tanoue, Kenshiro Oshima, Wataru Suda, Yuji Nagano, Hiroyoshi Nishikawa, Shinji Fukuda, Takuro Saito, Seiko Narushima, Koji Hase, Sangwan Kim, Joëlle V. Fritz, Paul Wilmes, Satoshi Ueha, Kouji Matsushima, Hiroshi Ohno, Bernat Olle, et al.
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Journal Title
Nature
Volume: 500
Pages: 232-236
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Qualitative Rather than Quantitative Changes Are Hallmarks of Fibroblasts in Bleomycin-Induced Pulmonary Fibrosis2013
Author(s)
Tatsuya Tsukui, Satoshi Ueha, Jun Abe, Shin-ichi Hashimoto, Shigeyuki Shichino, Takeshi Shimaoka, Francis H.W. Shand, Yasuka Arakawa, Kenshiro Oshima, Masahira Hattori, Yutaka Inagaki, Michio Tomura, Kouji Matsushima
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Journal Title
Am J Pathol
Volume: 183
Pages: 758-773
DOI
Peer Reviewed
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