2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25460503
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
佐藤 健人 東海大学, 医学部, 准教授 (50235363)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 炎症 / IkappaBL |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチなど各種の自己免疫疾患患者のゲノムワイド関連解析から、疾患感受性遺伝子候補としてIkBL(NFKBIL1)が同定された。本研究計画では、IkBL遺伝子改変マウス及び各種培養細胞を用いて、IkBLの炎症反応制御について検討した。 マウスへのコラーゲン投与による関節炎モデル(Collagen-induced-arthritis; CIA)において、IkBL過剰発現マウスでは症状が緩和された。これは主としてマクロファージなど自然免疫系細胞の機能低下によるものであった。そこでHEK293細胞、またRAW264.7細胞を用いて調べたところ、NFkBの転写活性がIkBL存在下で有意に低下し、この抑制活性はIkBLの核移行シグナル(NLS)に依存していた。NFkBの核移行を阻害する細胞質因子として各種IkBが知られているが、IkBLはこれら細胞質IkBと一部相同性を有しながら、核内で働く点が異なる。IkBLはBcl-3, IkBζ, IkBNSなどと同様、核内IkBファミリーの一員と考えることができる。 IkBLの生理的機能を探索する目的でKOマウスを作成した。急性炎症モデルとして、盲腸結索後穿刺による敗血症モデル(CLIP法)、LPS投与を行い、生存率、血清内各種サイトカイン濃度、体温などを継時的に測定したが、コントロール群との有意差を認めなかった。また、KOマウス骨髄由来マクロファージのLPS刺激によっても、有意差が無かった。 以上より、IkBLはNFkBの転写活性を核内で抑制する能力を有するが、そのloss of function解析による生理的重要性については明らかにならなかった。一方、生化学的実験から、IkBLはNFkBファミリー分子の中でも、RelBとのみ強く結合することが明らかとなり、RelBの機能修飾を行う可能性が示唆された。今後の検討課題とすべきと思われる。
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