2015 Fiscal Year Annual Research Report
トキソカラ症の実態解明~多彩な臨床像とその病態に関連する諸因子の基礎的検討~
Project/Area Number |
25460518
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中村 ふくみ 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (90295204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤尾 信明 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00126559)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トキソカラ症 / LES抗原 / 迅速診断キット |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度、研究代表者施設でトキソカラ症例を蓄積することはできなかった。診断用のトキソカラ幼虫分泌・排泄物(LES)抗原を得るため、および動物実験に用いるトキソカラ虫卵を入手する経路の確立も困難を極めた。一方でこれまでに保管していたトキソカラLESを用い、トキソカラ症の抗体検査法のために、新しい免疫クロマト法による迅速抗体検査試薬キットを、民間バイオベンチャー企業(株式会社バイオメディカル研究所)との間で共同開発した。保管していた患者血清を用い、従来使用していたToxocaraCHEKと比較検討した。その結果、新キットを用いて測定した抗体検査の結果はToxocaraCHEKと100%一致し、感度と特異性も従来法と同等と判定された。今後、病型別、検査検体別の感度・特異度の評価を追加して行っていく必要があるが、ToxocaraCHEKの入手が困難となっている現状から、今回開発した新キットをトキソカラ抗体検査の新しい迅速診断キットとして展開していく基盤を構築できたと考える。 トキソカラ症の疫学、原因寄生虫、病型、診断、治療とその診療における問題点を提起した総説「国内におけるトキソカラ症の実態」はモダンメディア(61巻12号18‐26頁)に掲載された。本稿による情報発信をきっかけにトキソカラ症が再認識され、症例の蓄積が進めば臨床的特徴の解析や新しい迅速診断キットの有効性について前向き検討を進めることができると思われる。
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