2014 Fiscal Year Research-status Report
ADP-リボシル化毒素Cholixの宿主受容体を介した毒性発現機機構の解明
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25460526
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
八尋 錦之助 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80345024)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 毒素 / エフェクター / 受容体 / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
コレラ菌の産生するCholix toxin (Cholix)は、eEF2 をADP-リボシル化し、蛋白質合成を阻害することで細胞障害を引き起こす毒素である。マウスに注射した場合、肝臓特異的な障害を引き起こし致死に至る。 本年度、ヒト肝臓細胞由来 HepG2, HuH-7 細胞を用い、Cholix toxin の細胞致死機構の解析を昨年に引き続き行った。炎症性サイトカインを添加することで、Cholix の細胞毒性の亢進が認められたことから、致死に関与するシグナル伝達機構の解析、ダブルチャンバーを用いた共培養による解析を行った。結果、Cholix による細胞内のROS 産生が引き金となり、MAPK の活性を促すことで細胞死を誘導していることが明らかとなった。現在、培養細胞で見られた結果を、個体レベル(マウス)で確認すべく準備を進めている。 Cholix の受容体に関して、昨年度末に作成した、Cholix 特異的なペプチド抗体 (中央部分、C-末部分)2種類をを用い、Cholix の受容体同定(免疫沈降)に使用できるかHepG2 細胞の表面蛋白質をビオチン標識した細胞可溶化液を用い、Cholix による免疫沈降を行った。結果、熱失活させたCholix では認められない、野生型 Cholix でのみ現れる二種類の膜蛋白質を検出した。この膜蛋白質を同定するため、免疫沈降物を大量に調整し、目的のバンドをトリプシン消化した。現在、共同実験者の先生にLC-MS/MSによる、同定、解析をお願いし、進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度末に、新たにペプチド抗体を作成したため、やや時間を取られてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
・肝細胞に対する細胞致死機構の詳細を明らかにし、国際雑誌に発表する。 ・Cholix 受容体を明らかにし、Cholix の宿主認識機構から致死に至る過程を解明する。
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Causes of Carryover |
HepG 細胞の増殖が遅く、培養に時間がかかったため、解析するための時間が予想していたよりも後ろにずれ込んでしまった。 また、マス解析のためのサンプル収集、精製に時間がかかっているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マス解析の再現性を得るための実験費用、細胞致死機構解明のための抗体購入に使用する。 マウスを購入し、病態解析を進め、論文を作成する。
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