2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25460529
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
神谷 重樹 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (60379089)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 病原性 / 百日咳 |
Research Abstract |
本研究の目的は百日咳の主症状である発作性咳嗽の原因となる細菌側病原因子を解明することである。 これまでの研究から、気管支敗血症菌とラットを用いた咳嗽発作を再現する動物感染モデルを確立し、これを客観的に定量化することに成功している。さらに咳嗽発作を起こさない気管支敗血症菌の自発性変異株(ΔC株)を得て、この変異株の全ゲノム配列を決定し、野生株との塩基配列比較から発作性咳嗽の原因となる細菌側病原因子の候補3遺伝子を決定した。気管支敗血症菌のゲノムのアノテーションから、特定された3つの遺伝子の遺伝子産物は、転写制御関連因子が1つと代謝関連因子が2つであることが予想されている。 そこで本年度は、ΔC株の変異遺伝子3つのうちいずれが咳嗽発作に関係するかを野生株のそれぞれの遺伝子のみを欠損させた変異株を作成し、咳嗽発作惹起の有無について、動物感染モデルを用いて調べた。その結果、3つの遺伝子のうち、遺伝子産物が転写制御因子であると予想されるものが咳嗽惹起に関連していることを明らかにした。さらに、ΔC株のこの遺伝子を野生型に復帰させた変異復帰株と野生型に自発性変異のみを導入した変異導入株を作製し、同様に咳嗽惹起能について実験を行ったところ、復帰変異株では咳嗽惹起能が回復し、変異導入株では喪失することが確認された。従って、この転写制御因子により制御される下流の遺伝子の遺伝子産物が直接の咳嗽惹起能をもつ因子であることが推定された。現在、この下流遺伝子の検索を始めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
咳嗽を惹起しない変異株のゲノム解析より明らかとなった変異のあると3つの候補遺伝子から転写制御因子が遺伝子産物と推定されるものに絞り込むことができた。転写制御因子であるため、咳嗽惹起の直接の病原因子ではなかったが、この遺伝子の下流に存在する遺伝子がその候補であることを明らかに出来た。申請書の計画にも記載したように転写制御因子であった場合はさらなる解析が必要となるが、現時点ではほぼ予定通りの結果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はDNAマイクロアレイ、mRNA-seq、iTRAQ、2D-DIGE などの方法を用いて、野生株と当該遺伝子(転写制御因子遺伝子)の欠失株の2 株間のmRNA またはタンパクレベルで発現の比較を行い、欠失株で発現レベルが低下した遺伝子をこの制御因子の下流の咳嗽惹起能を持つ遺伝子としてリスト化する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者の大阪大学より大阪府立大学への異動に伴い、実験の中断が生じたため。 全て物品費として試薬、消耗費の購入に利用する予定である。
|