2015 Fiscal Year Annual Research Report
レトロンとmsDNAによる病原性発現制御とゲノム進化における役割
Project/Area Number |
25460532
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島本 整 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (90187443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島本 敏 広島大学, 生物圏科学研究科, 助教 (70583136) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 病原性 / レトロン / コレラ菌 / msDNA / ビブリオ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究でコレラ菌(Vibrio cholerae)のレトロンとレトロンに含まれる逆転写酵素遺伝子の産物であるmulticopy single-stranded DNA(msDNA)は,転写制御因子と考えられているVC0176遺伝子とVC0177遺伝子を制御している可能性を示した。両遺伝子はVSP-1と呼ばれるpathogenicity island上にコードされているおり,レトロンまたはmsDNAを介してV. choleraeの病原性を調節していることを示唆している。 VC0176遺伝子とVC0177遺伝子のオーバーラップしているプロモーター領域の塩基配列を調べたところ,msDNAのDNAステム部分と部分的に一致する配列が存在した。そこで,msDNAがデコイDNAとして機能し,転写制御因子であるVC0176タンパク質と結合することでVC0177遺伝子を制御しているのではないかという仮説を立てた。精製したVC0176タンパク質を用いてプロモーター領域への結合をゲルシフト法によって検証したところ,VC0176タンパク質の結合部位を明らかにすることができた。また,VC0176タンパク質が制御する遺伝子群をChIP-seq法によって網羅的に解析した。 また,msDNAがアプタマーDNAとして機能している可能性を考え,磁気ビーズに結合させたmsDNAに結合するタンパク質をコレラ菌細胞抽出液より分取し,質量分析法によってmsDNA結合タンパク質の解析を行った。同定されたmsDNA結合タンパク質には,転写制御やDNAの組換えに関与するものが含まれており,msDNAがアプタマーとして機能している可能性を示唆しているが,さらなる詳細な解析が必要である。
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Research Products
(7 results)