2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内のレジオネラを認識する宿主因子複合体・インフラマソームの分子生物学的解析
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25460538
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
宮本 比呂志 佐賀大学, 医学部, 教授 (40229894)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レジオネラ / パイロトーシス / 細胞内寄生 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は,マウスマクロファージ様細胞株を用いて,ヒトNAIPがマウスNaip5と同様に,フラジェリン依存的にpyroptosisを誘導することでレジオネラの細胞内増殖を抑制することを示した.しかし、免疫沈降によるnaip5複合体が極めて少量であるため、解析が困難であった。そこで、今年度はヒトNAIPがマウス細胞ではなく、ヒトの細胞内でレジオネラ感染に対してどのように機能しているのかを検討した. 【方法】まず,種々のヒト由来株化細胞に,Legionella pneumophila 80-045株(WT)とフラジェリン欠損株をそれぞれ感染させ,細胞内増殖を調べた.次に,U937細胞を用いて,ヒトNAIPを安定的に発現する細胞株を作製した.作製したヒトNAIP安定発現細胞を用いて,細胞内増殖,細胞死,カスパーゼ1の活性化を調べた.細胞死はLDHの放出を,カスパーゼ1の活性化は感染細胞培養上清中に分泌されるIL-1βを測定することで評価した 【結果】使用したヒト由来株化細胞すべてにおいて,野生株と比較してフラジェリン欠損株は細胞内で増殖できなかった.ヒトNAIP安定発現細胞では,レジオネラの細胞内増殖は抑制された.この時に,細胞死,カスパーゼ1は活性化しておらず,ヒトNAIPによるpyroptosisの誘導は起こっていないことがわかった. 【考察】ヒトNAIPはマウスの細胞内でも,ヒトの細胞内でもレジオネラの増殖を抑制できる.しかし,ヒト細胞内においては,ヒトNAIPはフラジェリン依存的なpyroptosisの誘導によらずに,レジオネラの細胞内増殖を抑制していると考えられる.また,マウスの細胞とは異なり,ヒトの細胞ではフラジェリン欠損株は増殖できないことも考慮すると,ヒトとマウスでは,レジオネラの感染時に異なる応答が起こっている可能性がある.
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