2014 Fiscal Year Research-status Report
新規O血清群に属する志賀毒素産生性大腸菌のゲノム構造と病原因子の解析
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25460540
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
井口 純 宮崎大学, 農学部, 准教授 (00437948)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / 志賀毒素産生性大腸菌 / O血清群 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌の新規O血清群株について、ゲノム情報を基盤とした遺伝学的特徴の解析を行った。2011年に大腸菌のレファランスセンターであるデンマーク国立血清研究所(Statens Serum Institut:SSI)により新しく6種類のO血清群(O182からO187)が追加された。これらの新規O血清群は、前回2004年にSSIにより8種類(O174からO181)が追加された時と同様に、志賀毒素産生性大腸菌(Shiga toxin-producing E. coli:STEC)に見出された未同定のO血清群が追加されたと予想された。SSIより入手した新規O血清群STEC参考株を用いて病原関連遺伝子(stx1, stx2, eae)の保有をPCRにより確かめたところ、O182:stx1/eae、O183:stx2、O185:stx1/stx2、O186:stx2/eaeであり、O184とO187はstx eaeともに陰性であった。7種類のハウスキーピング遺伝子の配列情報を基に系統分類を行ったところ、O184およびO186は系統Aグループ、O181およびO182はB1グループ、O183およびO185はB2グループに分類された。MiSeqシステムにより各株のドラフトゲノムを取得し、O抗原コード領域を抽出して遺伝子アノテーションを行った。さらにそれぞれのO血清群に特異的なPCRプライマーをデザインし、研究室で保有するヒト患者およびウシ糞便由来株STECについて特異的PCRを行ったところ、O182-11株、O183-12株、O185-1株、O187-3株が確認された。現在、それぞれの遺伝学的な特徴について解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
標的とするO血清群に属するSTECについて、当初に計画していた系統解析、O抗原コード領域の解析、ゲノム解析などを行い、さらに遺伝学的な検出法の開発も行った。開発手法を用いたスクリーニングによりヒト患者および牛ふん便由来菌株から新たな対象STECが検出できている。
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Strategy for Future Research Activity |
新しく分離されたSTECも解析に加え、今後はより広範囲なゲノム比較解析を行う予定である。また、表現型とゲノム解析の両手法により選択分離に有効な表現型マーカーの探索を行い、検体からの分離に有効な培地などの考案を行う予定である。併せてゲノム情報より新規病原因子の探索も行う。
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Causes of Carryover |
本年度予定したいた新規取得株のドラフトゲノム配列の決定を次年度に実施することにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究補助員を短期雇用し、新規取得株の遺伝子解析およびゲノム解析、さらに分離培養法の考案を効率的に実施する予定である。
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