2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25460552
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
永浜 政博 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (40164462)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウエルシュ菌β毒素 / THP-1細胞 / p38MAPK / JNK |
Research Abstract |
C型ウエルシュ菌の産生するβ毒素は、ヒトや動物の壊疽性腸炎の原因である考えられ、本毒素は生物活性として致死、壊死活性を有する。β毒素は免疫系細胞など特定の細胞に対して障害を示すが、その作用メカニズムと病原性との関連は明らかにされていない。本研究では、β毒素の細胞レベルでの障害作用から、毒素の作用機構を明らかにする。β毒素をヒト急性単球性白血病細胞株であるTHP-1細胞に作用させる、本毒素は細胞膜ラフトでオリゴマーを形成して、細胞からの急速なKイオンの遊離、細胞のSwelling、そして、細胞死を誘導することが明らかとなった。一方、低濃度のβ毒素でTHP-1細胞を処理すると、p38MAPKとJNKのリン酸化が認められた。さらに、p38MAPK阻害剤SB203580とJNK阻害剤SP600125で予め細胞を処理すると、本毒素のよる細胞毒性が増強された。すなわち、毒素の攻撃を受けた細胞が、生存シグナルとしてp38MAPKとJNKを活性化している可能性が示唆される。さらに、Kフリー液では、本毒素によるp38MAPKの活性化と細胞毒性は増強され、高K液中では本毒素のこれらの作用が抑制された。p38MAPKの活性化には活性酸素種(ROS)の産生が関与するとが知られている。そこで、β毒素処理後のTHP-1細胞からのROSの産生を調べたが、ROSの産生は認められなかった。すなわち、本毒素によるp38MAPKの活性化にはROSは関与していないことが判明した。以上から、β毒素によるp38MAPKとJNKの活性化は、細胞の障害を防御する生存シグナルであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、β毒素のTHP-1細胞に対する作用機構の検討を中心に行った。本毒素はTHP-1細胞表面のラフトでオリゴマーを形成して細胞毒性を示した。このとき、β毒素の障害作用に対して、THP-1細胞は自らのp38MAPKとJNKを活性化して、毒素に対する障害に抵抗することが判明した。すなわち、β毒素の作用機構解明に大きな寄与があったと考える。これらの成果は、Infection and Immunityに受理され、新規な知見であることが認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針として、以下を遂行する予定である。 1.β毒素の細胞障害時に、細胞表面のどのような受容体に結合しているのかを明らかにする。 2.β毒素の細胞膜受容体と毒素のオリゴマー形成や細胞膜障害とのに関連について検討する。 3.β毒素の立体構造を明らかにするため、毒素の結晶化を行う。 4.β毒素の動物感染モデルを確立し、病原性における役割を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬や器具などの消耗品が予定より安価で済んだこと、さらに、予定していた旅費が、予想より下回り次年度使用額が生じた。 β毒素の作用機構を細胞生物学的な手法で検討するため、試薬や器具などの消耗品に多くを使用する。成果発表のため、学会発表での出張費を使用する。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Concise Synthesis of a Probe Molecule Enabling Analysis and Imaging of Vizantin2013
Author(s)
Yamamoto H, Oda M, Nakano M, Watanabe N, Yabiku K, Shibutani M, Nakanishi T, Suenaga M, Inoue M, Imagawa H, Nagahama M, Matsunaga Y, Himeno S, Setsu K, Sakurai J, Nishizawa M
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Journal Title
Chem. Pharm. Bull.
Volume: 61
Pages: 452-459
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Novel inhibitor of bacterial sphingomyelinase, SMY-540, developed based on three-dimensional structure analysis2013
Author(s)
Oda M, Imagawa H, Kato R, Yabiku K, Yoshikawa T, Takemoto T, Takahashi H, Yamamoto H, Nishizawa M, Sakurai J, Nagahama M
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Journal Title
J. Enzym Inhib. Med. Chem.
Volume: Posted online on 14 Mar 2013
Pages: 1-8
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Development of Vizantin, a safe immunostimulant, based on the structure-activity relationship of Treharose-6,6'-Dicorynomycolate2013
Author(s)
Yamamoto H, Oda M, Nakano M, Watanabe N, Yabiku K, Shibutani M, Inoue M, Imagawa H, Nagahama M, Himeno S, Setsu K, Sakurai J*, Nishizawa M
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Journal Title
J. Med. Chem.
Volume: 56
Pages: 381-385
DOI
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