2015 Fiscal Year Annual Research Report
劇症型溶レン菌感染症起因株で特異的にみられる新規の変異遺伝子の同定および解析
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25460554
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
池辺 忠義 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (20333362)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細菌 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
Streptococcus pyogenes (Group A Streptococcus; GAS)は、咽頭炎のようなありふれた病気から劇症型溶血性レンサ球菌感染症(Streptococcus toxic shock syndrome, STSS)のような重篤な病気を引き起こす。以前の研究において、STSS患者から分離された株は病原因子を負に制御しているタンパク質をコードするcsrS/csrRやrgg遺伝子に高頻度に変異が起きていることを明らかにした。しかしながら、これらの遺伝子の変異頻度は、STSS患者から最も分離されているemm1遺伝子型株で有意に低い。本研究では、emm1型に注目し、csrS/csrRやrgg遺伝子以外にどのような変異があるか調べることを目的とした。その結果、病原性遺伝子の発現を上昇させる変異(sic遺伝子のプロモーター変異)を見出した。この変異をもつ株はマウスへの致死性を上昇させることが判明した。また、sicプロモーターの変異はSTSS患者分離株の方が咽頭由来株より有意にみられることが判明した。以上の結果から、sicプロモーターの変異はSTSSの病原性に重要な役割を持っていることが考えられた。
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