2013 Fiscal Year Research-status Report
国内で分離されるセレウス菌の網羅的分類とゲノム解析による病原性関連遺伝子の探索
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25460556
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
奥谷 晶子 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (60392320)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セレウス菌 / 土壌 |
Research Abstract |
1.平成23年度より行っている土壌からのBacillus cereus group菌種群の分離同定の継続を行い、今年度は新たに7地域よりBacillus cereus group菌種群 65株を分離・同定し、菌株ライブラリへの登録を行った。 2.土壌の採取地域としてこれまでに手薄であった地域(主に北海道)から複数箇所の土壌を採取するため、北海道大学および動物衛生研究所の関係者から採取への協力をいただいた。これまでに採取が困難であった乳牛牧場周辺および養豚場周辺と、山岳地域等からの貴重な土壌を入手することができた。現在これらの土壌より、Bacillus cereus group菌種群の分離同定を行っている。 3.7種類の遺伝子解読データを元にした系統解析により、土壌由来であるものの臨床由来と近縁であるセレウス菌をこれまでに4株同定した。このうちの2株をイルミナ社 MiSeqを用いて250bp×2のPaired Endsによるフルゲノム解読を行った。既知の臨床由来・食中毒事例由来のセレウス菌および炭疽菌フルゲノムおよび病原性関連遺伝子とのリシークエンス解析をによるSNP/indelの抽出および病原性関連遺伝子の探索を行ったところ、現時点では新規の病原性遺伝子は同定されていないものの、溶血性関連遺伝子群など複数の既知の病原性関連遺伝子が土壌由来のセレウス菌のゲノム上にコードされていることを確認した。さらにreferenceとなる既知のセレウス菌ゲノム情報を収集し、詳細かつ網羅的な比較ゲノム解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに国内の土壌から分離された新規セレウス菌株を7種の遺伝子配列を基にMLST(MultiLocus Sequence Typing)法により系統解析を行った。 その結果、臨床由来(食中毒や院内感染由来)セレウス菌と非常に近縁なクラスターに分類される土壌由来セレウス菌が現時点で4株特定され、内2株のフルゲノム解読を当部所有のMiseqで行い、現在既知のゲノム情報との比較解析と病原性関連遺伝子の検索を計画通り行っており、データを蓄積しているところである。 しかしながら、今年度新たに臨床由来(食中毒あるいは院内感染由来)のセレウス菌の入手を試みたが、国内での発生事例数が少なく入手することができなかったため、土壌由来以外のセレウス菌の検索範囲を拡げることができなかったため、上記の様な評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
食中毒や院内感染の起因菌となる臨床由来のセレウス菌の入手を進めている。発生事例が少ないため今後も入手が困難であることが予想されることから、過去に発生した事例からの分離菌を、NBRC (Biological Resource Center, NITE)などの国内における生物資源リソースセンターから購入することも予定している。また、食肉処理施設等からのセレウス菌あるいはその近縁菌種が分離されるかの調査を始める予定である。 フルゲノム解読については残り2株のセレウス菌について行うと同時に、臨床由来セレウス菌とは異なる遺伝学的クラスターに属するセレウス菌についても行い、比較解析を通じて環境由来のセレウス菌と臨床由来のセレウス菌の差異をゲノムレベルで明らかにしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フルゲノム解読を行った菌株数が当初予定の半数であったために必要な消耗品を購入する回数が少なかったため。 フルゲノム解読を行う予定の菌株数が当初より増えたため、消耗品の購入に使用する。
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