2014 Fiscal Year Research-status Report
病原性の異なるレプトスピラの比較解析によるレプトスピラ症重症化メカニズムの解明
Project/Area Number |
25460557
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
小泉 信夫 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (10333361)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | レプトスピラ / 病原性 / シリアンハムスター / サイトカイン / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
レプトスピラ症の重症化メカニズムを明らかにするために,シリアンハムスターに対して異なる病原性を示すLeptospira interrogans 2株を用いた感染実験を行った結果,レプトスピラDNA量およびサイトカイン遺伝子発現量は感染96時間後にピークとなり株間で差がみられた.今年度は感染96時間後の供試動物数を増やして実験を行った. 強毒株UP-MMC-NIID接種群の肝臓におけるレプトスピラDNA量は,弱毒株OP84接種群に比べて有意に多かった.他の組織ではレプトスピラDNA量の差が認められなかったことから,強毒株は肝臓において高い増殖能を有することが明らかとなった.また強毒株,弱毒株両接種群において,全ての組織で炎症性および抗炎症性サイトカイン遺伝子の発現量増加が見られた.血液中におけるmip1alpha,肝臓におけるtgfbeta,il1beta,mip1alpha,il10,tnfalpha,cox2および肺臓におけるtgfbeta,il6,inos,tnfalpha,cox2については強毒株接種群で有意に発現が上昇していた.また昨年度行った感染実験において,腎臓,肺臓では顕著な病変の差が観察されるのに対し,肝臓では強毒,弱毒株接種群間で顕著な病変の差は観察されないことを明らかにした.このことから,強毒株UP-MMC-NIIDは,シリアンハムスター肝臓を増殖の場とし,弱毒株にはない腎臓,肺臓を障害する特有の病原因子を有する可能性が考えられた. また他のげっ歯類の配列を基にしたdegenerate PCRおよび5'-, 3'-RACEによるシリアンハムスターccl2,cxcl1,cxcl2,cxcl3 cDNAをクローニングし,レプトスピラ感染により発現が上昇することを明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強毒株UP-MMC-NIIDおよび弱毒株OP84のシリアンハムスター体内における動態および感染組織におけるサイトカイン遺伝子発現の比較についてまとめ,論文として投稿することができた(現在,再投稿のための修正中).レプトスピラの病原因子の探索については現在OP84の全ゲノム配列決定を行っており,今後強毒株(全ゲノム配列決定済み)との比較解析を行う予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
強毒株UP-MMC-NIIDおよび弱毒株OP84のゲノム比較を行い,強毒株に特有な遺伝子を同定する.強毒株に特有な遺伝子欠損株の作製を行い,感染実験により重症化に関与する遺伝を同定する. またハムスターのレプトスピラ感受性の性差を明らかにする.
|
Causes of Carryover |
当該年度の研究に必要な試薬等をすべて購入できたため,次年度に繰り越すことにした.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
ゲノム解析に必要な試薬の購入に使用する
|
Research Products
(1 results)