2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25460565
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
末永 忠広 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (20396675)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ヘルペスウイルス / グリコプロテイン / 膜融合 / 水痘帯状疱疹ウイルス / CRISPR-Cas9 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の宿主細胞内侵入時のウイルスエンベロープー細胞膜融合において、ウイルス側で必須であるグリコプロテインB(gB)、gH-gL複合体のうち、gBと宿主細胞のgBレセプターであるmyelin-associated glycoprotein (MAG)の結合機構を解析した。gB-MAGの結合には、gB上のシアル酸が必要であり、このシアル酸は、結合のみならず、VZVウイルス感染、エンベロープー細胞膜融合にも必須であることが、in vitroの感染実験とCell-cell fusion assayなどで明らかとなった。さらに、gB上のシアル酸が結合する糖鎖とgBタンパク上の結合箇所を解析した(論文投稿中)。 近年、元来細菌類に内在する自己防御システムで、これをほ乳類、魚類、線虫、酵母などに転用し、簡便なゲノム編集技術として研究に汎用されているCRISPR-Cas9システムが注目されていた。本システムを用いたウイルスゲノム編集は行われていなかったが、筆頭研究者らは、単純ヘルペスウイルス(HSV)のゲノム編集を、CRISPR-Cas9システムを用いて行う方法を確立した(Suenaga et. al, Microbiol Immunol.: 2014)。これまで、HSVの場合は約150 kbpという比較的大きなウイルスゲノムを、プラスミドに組み込む煩雑であるという問題やクローン選択のための人工配列を内在するウイルスしか分離できないという問題があったが、本システムでは、これらの問題点を解消することに成功した。本手法を用いることによって、臨床分離株などを分離した後、すぐにゲノム編集による変異ウイルスを作成し、病原性などを研究することが可能になった。今後は、HSV、VZVのみならず、他のヘルペスウイルス科ウイルスのみならず、ほかのDNAウイルスのゲノム編集にも応用していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
VZVのみならず、他のヘルペスウイルスの膜融合におけるグリコプロテインの解析を行っているが、gBだけをみても、その活性に必要なgBの箇所が、レセプターによって異なり、MAGのように同じレセプターを用いた場合でも、ウイルスによって必ずしも同じ相同領域が関与するわけではないなど、多岐に渡っている。 これらを系統立てて理解することが本研究のゴールであるが、系統理解のための個々のデータ収集が膨大となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
データが揃いつつあるHSV gBとVZV gBとこれらのレセプターであるMAGとの関係から、これらの立体構造も含めた解析を行い、異なるウイルス間の膜融合機構を比較検討する。また、筆頭研究者らが同定したVZVの他のレセプターを解析することによって、同じウイルスグリコプロテインの異なるレセプター間における膜融合機構の比較解析を行う。
|
Causes of Carryover |
前記の如く、膨大なデータ収集に時間を要し未使用額が発生したが、CRISPR-Cas9システムによるウイルスゲノム編集法を開発し、この新たな変異ウイルス作成法を使用するにあたり、これまでとは異なる試薬、抗体が必要である。 また、本システムで起こりうる望まない箇所への変異(off-targeting 効果)の有無を除外するため、全ゲノムSequenceを行う必要が生じる可能性もある。ヘルペスウイルスの膜融合機能解析を行うにあたり、各ウイルスのグリコプロテイン、各グリコプロテインの宿主側受容体のそれぞれの変異体を作成し、細胞導入、膜融合アッセイなどは継続して行う予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
HSV、VZV、HHV-6等のヒトヘルペスウイルス膜融合機構の追究における、各変異ウイルス作成のための、sequence解析試薬、ウイルスゲノム抽出試薬、PCR試薬、変異ウイルス同定抗体、全ゲノムシークエンス解析機器使用量と試薬代、CRISPR-Cas9プラスミド作成のためのoligo-DNA代などに新規に研究費を充当する。これとともに、これまでの、膜融合アッセイ試薬、高解像度顕微鏡下でのより詳細な解析を行うための、解析機器と試薬の調整、観察用容器などに充当する。
|
Research Products
(11 results)
-
[Journal Article] β2-glycoprotein I / HLA class II complexes are novel autoantigens in antiphospholipid syndrome.2015
Author(s)
Tanimura K, Jin H, Suenaga T, Morikami S, Arase N, Kishida K, Hirayasu K, Kohyama M, Ebina Y, Yasuda S, Horita T, Takasugi K, Ohmura K, Yamamoto K, Katayama I, Sasazuki T, Lanier LL, Atsumi T, Yamada H, Arase H.
-
Journal Title
Blood.
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
-
-
[Presentation] Myeloperoxidase/HLA class II complexes are targets for autoantibodies in microscopic polyangiitis.2014
Author(s)
Hiwa Ryosuke, Ohmura Koichiro, Arase Noriko, Jin Hui, Hirayasu Kouyuki, Kohayama Masako, Suenaga Tadahiro, Matsuoka Sumiko, Iwatani Hirotsugu, Atsumi Tatsuya, Terao Chikashi, Mimori Tsuneyo, Arase Hisashi
Organizer
第43回日本免疫学会学術集会
Place of Presentation
国立京都国際会館(京都)
Year and Date
2014-12-10 – 2014-12-12
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Autoantibodies in Rheumatoid Arthritis Specifically Recognize IgG Heavy Chain Complexed with HLA-DR, Which is Strongly Associated with Rheumatoid Arthritis Susceptibility.2014
Author(s)
Jin H, Arase N, Hirayasu K, Kohyama M, Suenaga T, Saito F, Tanimura K, Matsuoka S, Ebina K, Shi K, Toyama-Sorimachi N, Yasuda S, Horita T, Hiwa R, Takasugi K, Ohmura K, Yoshikawa H, Saito T, Atsumi T, Sasazuki T, Katayama I, Lanier LL, Arase H.
Organizer
The 15th Annual European Congress of Rheumatology EULAR 2014
Place of Presentation
Paris(France)
Year and Date
2014-06-11 – 2014-06-14
-