2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25460569
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
入江 崇 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 准教授 (70419498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 剛正 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70196070)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | RNAウイルス / 自然免疫 / インターフェロン |
Outline of Annual Research Achievements |
自然免疫は、病原微生物感染初期の生体防御の要であり、微生物固有の因子を認識して発動する。RNAウイルス感染では、ウイルス由来RNA分子がリガンドとして機能すると考えられているが、実際のウイルス感染で、その実態はほとんど明らかにされていない。本研究では、実際のRNAウイルス感染で、「何が」「どこで」「どうやって」自然免疫系に認識されるのかを明らかにすることを目的とし、以下の成果を得た。 インターフェロン(IFN)-β誘導性の高いセンダイウイルス(SeV)株(カンテル株)のクローニングにより、IFN-β誘導性の高いクローンとほとんどIFNを誘導しないクローンの2種類を得た。この両者の差は、ウイルスゲノムと同様のヌクレオカプシド構造をもつコピーバック型欠損干渉(cbDI)ゲノムの有無が原因になっていることを発見し、またウイルスRNA合成の鋳型となるヌクレオカプシドを構成する主要因子であるN蛋白質中のアミノ酸変異がその産生の原因となっていることを見出した(論文投稿中)。また、SeV C蛋白質欠損ウイルスでは、IFN-β誘導性が著しく上昇するが、その原因がウイルスゲノム5'末端領域に相同でヌクレオカプシド構造を取らない裸のRNA分子の産生が原因となっていることを明らかにした(入江ら, Front Microbiol 2015)。これらのIFN-β誘導性RNA分子は、通常のウイルス感染ではほとんど産生されておらず、通常のウイルス感染は自然免疫系から感知されにくい状態にあると考えられる。また、これらのRNA分子を選択的に認識、蓄積する宿主側機構の存在の可能性を示した(入江ら, Front Microbiol 2015)。 上記の他、V蛋白質やC蛋白質による新規自然免疫回避機構や、そのメカニズムを明らかにすることができた(小田ら, J Virol 2015; 準備中論文)。
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Research Products
(7 results)