2013 Fiscal Year Research-status Report
試験管内増幅法を用いた異常プリオン蛋白質の複製に関与する補因子の探索
Project/Area Number |
25460575
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
今村 守一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所インフルエンザ・プリオン病研究センター, 主任研究員 (10391442)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プリオン病 / 異常型プリオン蛋白質 / PMCA / 補因子 |
Research Abstract |
本研究は、正常型プリオン蛋白質(PrPC)から異常型プリオン蛋白質(PrPSc)への構造変換に必須である補因子を同定し、変換プロセスにおける役割を検討することを目的とする。補因子の探索には、先に構築したバキュロウイルス由来組換えプリオン蛋白質(Bac-PrP)を基質としてPrPScを試験管内増幅する改良protein misfolding cyclic amplification (PMCA)法を用いる。本年度は候補補因子を絞り込むため、PrPSc増幅誘導剤であるプロテアーゼK(PK)・熱処理昆虫細胞溶解液を分解酵素処理および化学薬剤処理した後PMCAを行い、各処理が変換に与える影響を調べた。さらに界面活性剤を用いて補因子の分画を試みた。 1 各種酵素処理、化学薬剤処理による補因子の性状解析 (1) PK・熱処理昆虫細胞溶解液をコンドロイチナーゼ、ヘパリナーゼ、リゾチーム、βガラクトシダーゼ、αおよびβグルコシダーゼ、ATP加水分解酵素、ウレアーゼで処理した後、PMCAを行ったが、どの酵素処理においても変換に与える影響は認められなかった。(2) PK・熱処理昆虫細胞溶解液を核酸分解酵素で処理し、変換活性を低下させた場合、ある種のグリコサミノグリカン(GAG)を加えると、変換活性の回復が認められた。この結果は、一部のGAGは試験管内増幅において核酸の代替が可能であることを示唆している。(3) PK・熱処理細胞溶解液をNaOHまたはHCl、各種有機溶媒で処理した後、PMCAを行ったが、変換に影響しなかった。 2 界面活性剤による補因子の分画 sodium deoxycholate, sodium dodecyl Sulfateの抽出残渣では変換活性が失われたが、TritonX100, n-octyl glucoside, CHAPSの抽出残渣は活性を保持していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は補因子のひとつとしてGAGを同定し、補因子が耐アルカリ性、耐酸性、耐有機溶媒性であることを示した。さらに、TritonX100, n-octyl glucoside, CHAPSによる抽出残渣が活性を保持していたことから、これらの界面活性剤で処理することで補因子の粗精製が可能になった。しかし、本年度実験を計画していた限外ろ過や各種クロマトグラフィーを用いた補因子の分画精製を実施できておらず、補因子の絞込みが遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は計画に対して研究の進捗はやや遅れているが、方向性は問題ないと考える。平成26年度は研究実施計画通り、候補補因子の探索・絞り込みを継続しつつ、補因子の同定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗が遅れているため、実施を計画していた各種クロマトグラフィーを用いた補因子の精製および生成したPMCA産物についてのバイオアッセイを平成25年度に行っていない。そのため次年度使用額が生じた。 平成25年度に実施を計画した各種クロマトグラフィーを用いた補因子の精製およびバイオアッセイを平成26年度に行う。
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