2014 Fiscal Year Research-status Report
試験管内増幅法を用いた異常プリオン蛋白質の複製に関与する補因子の探索
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25460575
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
今村 守一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所インフルエンザ・プリオン病研究センター, 主任研究員 (10391442)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プリオン病 / 異常型プリオン蛋白質 / PMCA / 補因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、正常型プリオン蛋白質(PrPC)から異常型プリオン蛋白質(PrPSc)への構造変換に必要となる補因子を同定し、変換プロセスにおける役割を検討することを目的とする。補因子の探索には、我々が以前構築したバキュロウイルス由来組換えプリオン蛋白質(Bac-PrP)を基質として試験管内でPrPScを増幅する改良protein misfolding cyclic amplification (PMCA)法を用いる。本年度は昨年度に引き続き、PrPSc増幅誘導剤であるプロテアーゼK(PK)・熱処理昆虫細胞溶解液を複数の生体分子分解酵素で処理し、PMCAを行うことで、PrPScの増幅に関わる生体分子の同定を試みた。 PK・熱処理昆虫細胞溶解液をホスホリパーゼA2およびβグルコシダーゼで処理すると、PK抵抗性を示すPrPSc様Bac-PrP(Bac-PrPres)への変換効率の低下が認められた。このことはリン脂質および糖質がPrPCからPrPScへの構造変換に関わる可能性を示唆する。また、コレステロール除去剤を反応液に加えてPMCAを行うと、PrPScの増幅効率が著しく低下したことから、コレステロールもPrPScへの構造変換に関わることが示唆された。昨年度候補補因子として同定したヘパラン硫酸およびリン脂質、コレステロール、糖質のみを用いてPMCAを行ったが、十分な変換活性は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度リン脂質およびコレステロール、糖質を候補補因子として同定したが、これまで同定した因子のみでは十分な変換活性は認められなかった。したがって、さらなる候補補因子の同定が必要である。平成27年度まで補因子の同定を行う計画であるが、フーリエ変換赤外分光分析や質量分析計を利用した補因子の探索まで至っておらず、研究の進捗は計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗はやや遅れているが、候補補因子の同定は進んでいる。平成27年度上半期には補因子の同定を終え、下半期には27年度に計画している補因子のみを用いた試験管内PrPSc増幅系の構築および変換構造体の解析を行う予定である。
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