2014 Fiscal Year Research-status Report
新規分子の探索を中心とした核酸認識系TLR応答制御機構の解明
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25460585
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福井 竜太郎 東京大学, 医科学研究所, 助教 (60554508)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新規分子 / I型インターフェロン / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度に引き続き、以下の解析を行った。 (1)shRNAライブラリによるfunctional cloning(2)Unc93B1-D34A変異マウス(D34Aマウス)の表現系調節因子を連鎖解析によって探索(3)I型インターフェロン (IFN)がD34Aマウスの表現系に及ぼす影響の解析(4)新規分子「Peony」の機能解析
これらの結果について、以下に示す。(1)探索を繰り返すことにより、細胞周期の制御因子がTLRの応答性に関わっている可能性が新たに示唆された。また、オフターゲット効果を克服するため、次世代シーケンサーによるRNA-seqを行い、shRNAの配列から予測されるターゲット以外の遺伝子についても発現量の変化を解析中である。(2)B6系統のD34Aマウスについては、penetranceが低いとの結論に至ったことから、連鎖解析を中断した。BALB/c系統はサンプル数を増やすことにより、遺伝子座のLOD scoreを上げることができた。(3)I型IFN受容体であるIFNAR1を欠損させたD34Aマウスでは、B細胞などのTLR7発現量が減少していた。このことから、IFNAR1によるシグナルがTLR7の発現を安定化させ、TLR7依存的な病態に寄与していると考えられた。(4)Peonyは細胞質内領域を欠損させても機能に影響はなく、細胞膜貫通領域、および細胞外領域を欠損させると機能が減弱した。これまでに、10アミノ酸程度まで機能部位を絞り込んでいる。また、トランスジェニックマウスが樹立された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要な目的である「核酸認識系Toll-like receptorの応答を制御する新規分子の探索」という点については、shRNAライブラリによる探索などによって新規分子が実際に同定されているため、おおむね順調に進展していると考えて良いのではないかと思われる。 TLR7の過剰な応答による炎症と、系統依存的な表現系とを結ぶ因子の探索については、片側の系統 (C57BL/6系統)の解析を断念する結果となったが、もう一方の系統 (BALB/c系統)では探索を続けられる可能性が残っている。 また、制御分子の解析という点においても「実績の概要」に示したような分子において解析が進んでおり、「解明」に向けての足がかりができていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
「実績の概要」に対応させて、今後は以下の点を中心に研究を進める。また、これまでは「探索」に重点を置いていたが、今後は「解析」へと徐々にシフトさせる予定である。 (1)shRNAライブラリによるファンクショナルクローニングについては、CRISPR/Cas9システムによるgRNAライブラリなども使用して幅を広げる。また、RNA-seqによって解析された候補分子が実際に制御分子として機能するかを検討し、オフターゲット効果を無視できるような探索系の構築を目指す。(2・3)I型インターフェロンとUnc93B1-D34Aマウスの表現系との解析については、現在論文のreviseを行っており、近いうちに完了する予定である。連鎖解析については、次世代シーケンシングなどによってfine mappingに進みたい。(4)新規分子Peonyはトランスジェニックマウスの解析を行う。なお、コンディショナルノックアウトマウスの作製が遅れているので、こちらはgRNAのインジェクションなどによって樹立を加速する。
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Causes of Carryover |
shRNAライブラリを用いたファンクショナルクローニングにおいて、オフターゲット効果による影響が多く見られたことから、これを解消する方法の検討が必要になった。また、新規分子Peonyのノックアウトマウスは来年度以降に樹立される可能性が高くなったことによる。その他、CRISPR/Cas9システムの普及により、マウスの作製や新規ライブラリの使用など、行える実験の幅が広がりつつあるため、次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
shRNAやgRNAライブラリなどを用いた遺伝子発現を抑制するタイプのファンクショナルクローニングにおいては、オフターゲット効果が問題点となりやすい。そこで、ゲノムDNAから推測された候補ターゲット遺伝子以外の遺伝子の発現量を、次世代シーケンシングによるRNA-seqを行って直接的かつ網羅的に検討する。この方法によれば、オフターゲット効果が見られた場合でも正しい候補遺伝子に到達することが可能である。こうした方策を試す予定であり、次年度に研究費を繰り越す。 また、次年度に実験を繰り越す予定であるPeonyのノックアウトマウスを解析するために使用する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Targeting cell surface TLR7 for therapeutic intervention in autoimmune diseases2015
Author(s)
Atsuo Kanno, Natsuko Tanimura, Masayuki Ishizaki, Kentaro Ohko, Yuji Motoi, Masahiro Onji, Ryutaro Fukui, Takaichi Shimozato, Kazuhide Yamamoto, Takuma Shibata, Shigetoshi Sano, Akiko Sugahara-Tobinai, Toshiyuki Takai, Umeharu Ohto, Toshiyuki Shimizu, Shin-ichiroh Saitoh, and Kensuke Miyake
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Journal Title
Nat. Commun.
Volume: 6
Pages: 6119
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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